メールは危険「スクリーン無呼吸症候群」のヤバさ メールとメッセージアプリは自律神経に悪影響

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スクリーンの使用が増えるにつれて、状況はほぼ間違いなく悪化していっていると話すのは、2020年の著書『BREATH:呼吸の科学』でこの現象を扱ったジェームズ・ネスターだ。

「人によっては10種類のスクリーンを開いている。そこに、誰かがショートメッセージを送ってきて、誰かが電話をかけてきて、誰かがメールを送信してくる」。だが、私たちは「絶えず刺激を受ける」ことができるように進化してはいない、とネスターは付け加える。

ネコと同じストレス反応

スクリーン無呼吸症候群は私たちの身体のストレス反応の現れだ、と自律神経系を専門とするノースカロライナ大学チャペルヒル校の精神医学教授スティーブン・ポージスは話す。ポージスによると、何らかの刺激に直面すると、私たちの神経系はそれが脅威であるかどうかを解読するためのシグナルを探す。

そうした種類の集中と注意には精神的な労力が求められ、身体を「静かにさせ」、集中力を高めることにエネルギーを振り向けるために、浅い呼吸や心拍数の低下を含む一連の生理的変化を引き起こす、とポージスは語る。ポージスが例として引き合いに出すのは、獲物を追っているときのネコだ。

ネコは多くの場合、獲物に襲いかかる直前に静止し、呼吸が浅くなる。ポージスによると、これはメールやショートメッセージ、スラックのメッセージなどを受け取ったときに生じること、つまり静止して内容を読んで行動を考える、ということと本質的に変わらない。

突然のショートメッセージのように刺激が予想外のものであればあるほど、身体はこれを脅威と認識する傾向が強まる。

こうした反応が害にならない場合もあるが、日々つねにスイッチがオンになったような状態だと問題になる、とポージスは言う。というのは、「神経系を慢性的に脅威にさらす」ことになるためだ。

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