日本復活に大事なのは国民の覚悟と産業活力--『日本の突破口』を書いた中島厚志氏(経済産業研究所理事長)に聞く

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──為替動向が影響します。

気になるのは為替だ。輸出立国だからある程度の円安が進むのはいいが、供給制約の中で大きく円安に進むと困る。今でさえ、資源高の中で輸入が増えている。その一方で、円安になっても輸出は生産力の制約があって増やしようがない。むしろ輸入物価が上がるデメリットが加わる可能性がある。本来であれば、デフレで経済が萎縮するよりは若干のインフレのほうが好ましいが、それが円安、資源高による輸入インフレだとなると、必ずしも好ましくはない。

──人口動態もデフレに影響しているといわれます。

デフレでの人口動態の影響は小さい。日本の労働人口は1990年代半ばから減っているが、その減り方に対して、物価の下落ははるかに大きい。物価の下落を分解すると、人口動態は、そのほかの要因よりはるかに小さい。ただし、一要因にすぎないから人口は減り続けていい、とはならない。需要は基本的に落ち続ける。決して好ましいことではない。

大枠として人口動態を気にしつつも、需要を増やす企業・産業の活力の滋養と、そのうえで社会保障と企業活力をどう組み合わせるかに関心を持つことが大事だ。

──新たに活躍する日本の産業はありますか。

日本の場合、災害リスクが大きいとなると、その分、企業のリスク対応の負担が増える。それをしのぐには、今以上に収益力のある産業を根付かせることが必要になる。

グローバルな目線で見ると、18世紀の産業革命以降、50~60年ごとに技術革新が起きている。ここで注目したいのは、新技術が生活革命につながる製品になったときに世の中を大きく変えていることだ。人々のライフスタイルが変わる製品を日本がこれから生み出せるかどうか。

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