京都や富士山で「観光公害」マナー違反の深刻実態 自然環境保全が困難、世界遺産登録抹消の危機感

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本来であれば、国が音頭を取ってオーバーツーリズム対策を打ち出すべきだが、大半が各地の自治体や関係者任せになっている。各観光地のオーバーツーリズム対策の実態はどうなっているのだろうか。

広く導入されはじめているのが宿泊税である。2002年の東京都を皮切りに大阪府、京都市、金沢市、倶知安町、福岡県、福岡市(※)、北九州市(※)、長崎市が導入し、最近になって熊本市も導入に向けた動きを始めている。

(※)福岡市と北九州市は県とは別に独自に制定

京都市は宿泊税とは別に、持続可能な京都観光を創り上げていくために2020年に「京都観光行動基準」も策定している。

北海道の美瑛町では農業と観光を共存させる取り組みとして「美瑛畑看板プロジェクト」が行われている。美瑛町は年間200万人以上が訪れる人気観光地。その多くが外国人観光客で、記念撮影のために無断で畑に入り込む事象が後を絶たなかった。

そこで、2019年に10人の農家が中心となってプロジェクトを立ち上げ、数カ所の撮影ポイントに農家の思いを説明する文章を添えた看板を設置して観光客にアピール。さらにSNSでの活動、クラウドファンディングなど多角的な取り組みを実施してきた。その結果、多くの人に活動内容が伝わり、一定の効果を上げているという。

西表島では観光客数の上限を規定

世界自然遺産に登録されている沖縄の西表島では、今年3月に持続可能な観光を目指す「西表島観光管理計画」が策定された。島に入域する観光客数を年間33万人、1日の上限を1200人にするというもので、島内での車両の走行速度を40キロ以下にするなど行動制限も定めている。

希少生物の重要な生息地などはさらに厳しく制限。ヒナイ川200人以下、古見岳30人以下、浦内川源流域50人以下などとなっている。

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