また見たい「最上川の車窓」、山形ご当地鉄道事情 長期運休路線も…ローカル線で旅する名作の地

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酒田・鶴岡一帯は、日本海側を縦貫する羽越本線の沿線では最大規模の都市といっていい。山形県内において、羽越本線は南側ではあつみ温泉という温泉街を持ち、北側では庄内平野の酒田・鶴岡。それを過ぎると、東側に鳥海山を見ながらほどなく秋田県に入る。

羽越本線特急「いなほ」
鳥海山をバックに山形県北部の庄内平野を走る羽越本線特急「いなほ」(撮影:鼠入昌史)

庄内平野は東京からのアクセスがやや不便だ。飛行機ならば庄内空港があるが、鉄道だったら上越新幹線で新潟まで行き、そこから羽越本線の特急「いなほ」に乗り継がねばならない。東京―酒田間の所要時間は、ざっと4時間30分近く。

乗り継いで行く価値はある

なので、東京の人たちはあまり縁を感じることがないかもしれない。しかし、古くからの大穀倉地帯である庄内平野は酒もうまいし鳥海山のそびえる風景も一級だ。わざわざ鉄道を乗り継いで行くだけの価値がある。

そして、山形県の鉄道はとにかく最上川と深い関係にある。鉄道以前の時代、最上川は山形県内の物流を支えていた大動脈だ。山形特産、『おもひでぽろぽろ』にも出てきた紅花は、最上川舟運を通じて酒田から北前船で京の都に運ばれて、貴族たちに好まれた。

庄内平野が穀倉地帯、そして商業地として反映したのも、最上川と北前船の結節点だったから。せっかく山形を訪れたならば、新幹線はもちろんのこと、山形鉄道や左沢線、そして陸羽西線などを乗り継いで、最上川沿いの旅をしてみたいもの。そのためには、やっぱり陸羽西線の運転再開、待ち遠しい限りなのである。

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鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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