また見たい「最上川の車窓」、山形ご当地鉄道事情 長期運休路線も…ローカル線で旅する名作の地

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米坂線とは今泉駅で、そして山形新幹線・奥羽本線とは赤湯駅で接続しているのが、第三セクターの山形鉄道フラワー長井線。もともとは国鉄長井線で、1988年に第三セクターに転換された路線だ。うさぎ駅長だとか、2004年公開の映画『スウィングガールズ』に登場したとか、いろいろと見どころも多く、ほぼ全線にわたって最上川に沿う。

最上川はフラワー長井線の終点・荒砥駅からさらに山を越えて山形盆地に入り、左沢(あてらざわ)線という山形盆地内のローカル線の沿線を流れる。もともと荒砥駅と左沢線終点の左沢駅の間を最上川に沿って結ぶ計画もあったようだ。が、それが実現することはなく、ともに終点で線路が途切れる盲腸線のままである。

フラワー長井線
沿線に花の名所が多い「フラワー長井線」。車両にも花のラッピング(撮影:鼠入昌史)

すなわちフラワー長井線とつながる可能性もあった左沢線は、県都・山形のターミナルである山形駅の1つ北、北山形駅から西に分かれて寒河江を経て左沢までを結ぶ。「フルーツライン」の愛称を持つ通り、山形名産のさくらんぼをはじめ、多くの果樹園を車窓から望むことのできる路線だ。

また、寒河江市の玄関口である寒河江駅を中心に、朝夕には通学需要も実に旺盛。ピーク時には気動車のキハ101形が6両連なって走ることもあるというからなかなかのものだ。

仙台と結ぶ路線

山形盆地からは、もう1つ山越えの路線も延びる。仙台と山形を結ぶ仙山線だ。『おもひでぽろぽろ』には、奥羽山脈越えの手前に控える小駅・高瀬駅が登場するし、山寺駅は松尾芭蕉が「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」と詠んだ立石寺の最寄り駅。いまでも観光客の絶えない駅だ。

仙山線の山寺駅付近
山寺駅近く、立石寺の根本中堂を見ながら走る仙山線。日本初の交流電化路線だ(撮影:鼠入昌史)

米沢盆地の米坂線や山形鉄道、また山形からの左沢線などはいずれも非電化路線だが、仙山線はさすが2つの県都連絡路線、ちゃんと電化されている。奥羽山脈の急勾配を越えるため、特に勾配のキツい県境の作並―山寺間は、1937年の開業当時からの電化区間だ。さらに1950年代には日本初の交流電化試験路線にもなった。1968年には全線が交流電化され、いまは交流車両のE721系の独壇場である。

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