秋本議員「風力発電汚職」疑惑から見える深い闇 政治家絡みの捜査で自民内権力闘争も絡む?

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さらに、産経新聞の報道によると、塚脇氏の弁護人は、2019年7月に秋本氏が個人で馬主登録した際、塚脇氏が登録用の資金として約3000万円を秋本氏に貸し付け、秋本氏はその後、利子として現金100万円とワインをつけて返済したという。こうした経緯から多くの司法関係者は「自らの役職も利用した典型的な議員汚職」と受け止めている。

自民内に「“菅・河野案件”」との声も

そこで政界関係者が注目するのは、秋本氏の自民党内での立ち位置だ。同氏は千葉県の冨里市議会議員を2期務めた後、自民党の政権復帰につながった2012年12月の衆院選で千葉9区から自民党公認で出馬し、初当選。その後、脱原発再エネ推進派として同じ主張をしてきた河野太郎氏(現デジタル担当相)の知遇を得た。

その一方で、秋本氏と同じ法政大学法学部出身の菅元首相(当時は官房長官)にも目をかけられ、菅グループの「偉駄天の会」「ガネーシャの会」に入会し、菅シンパの中心人物となり、2021年の自民党総裁選に菅氏が出馬した際は、推薦人を代表して日本記者クラブなどで記者会見している。

これまでの経歴をみると、第3次安倍改造内閣と第4次安倍内閣で国土交通大臣政務官、第2次岸田改造内閣で外務大臣政務官などを歴任し、国土交通政務官時代に再エネ海域利用法制定などに貢献。その間、「自由民主党再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」事務局長にも就任した。その一方で、2021年10月の前回衆院選では、千葉9区で比例復活続けてきた立憲民主党の奥野総一郎氏に敗れ、比例復活となった。

今後の捜査の展開はなお不透明だが、司法関係者の間では「9月中旬にも想定されている党・内閣人事をにらみながら、臨時国会召集前に秋本氏逮捕となる可能性が大きい」との見方が多い。

さらに「秋本氏は逮捕と同時に議員辞職する」(自民幹部)とみられており、その場合は南関東比例で次点となった木村哲也元衆院議員(54=千葉4区=)が繰り上げ当選となる。これについて政界関係者は「木村氏も菅グループの一員であることが興味深い」と指摘する。

こうしたさまざまな経緯、背景から、自民党内では「『秋本事件』は“菅・河野案件”」(麻生派幹部)と突き放す声が出ている。これに対し、菅、河野両氏はこれまで口を閉ざしているが、「秋本氏が逮捕された途端、自民党内の権力闘争絡みの闇試合が始まる」(自民長老)との見方が出始めている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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