バイク乗りが集まる「スズキラーメン」の正体 ラーメンマニア向けではない、シンプルな1杯
「『スズキラーメン』という店名は、まず、私の苗字が鈴木だからです。ヤマハの本社前でスズキというのは後付けなんですけどね。オープン前、念のためにスズキに電話しました。『ロゴマークは絶対に使わないでください』と。それは当たり前ですよね。店名については『弊社は意見する立場ではありません』とのことでした。実はラインの青と店名の赤も色を微妙に変えています」と、店長の鈴木瑞輝さん。
筆者が「スズキラーメン」のことをバイク乗りの友人に話したところ大爆笑。さらに、
「『ヤマハ本社の前でスズキかよ!』ってツッコミたくなる。バイク乗りなら誰もが行ってみたいと思うだろうな」と、興奮気味に語った。
実際、話をした翌週には友人は磐田市へ向かってバイクを走らせた。「スズキラーメン」の写真がアップされた友人のSNSには多くのバイク仲間からコメントが寄せられて盛り上がっていた。友人に再び連絡を取ってみると、
「バイク乗りたちは皆、バイクに乗りたくて仕方がない。だからいつも乗るための口実を探しているんだよね。磐田市なら名古屋市内から2時間もあれば行けるし、ツーリングするにはちょうどよい距離だし」と話していた。
「スズキラーメン」は、バイク乗りたちのハートをガッチリと掴んでいるのだ。
「正確に言うと、バイカー(バイク乗り)とワーカー(労働者)がターゲットなんですけどね。ラーメンって、もともと安くておいしいもので、ラーメン屋はサッと食べて、サッと帰るものだと思うんですよ」(鈴木さん)
朝と昼、曜日ごとに異なるスープの濃度
店の注文システムも他店とは少し異なる。まず、券売機で購入した食券をカウンターへ持っていく。鈴木さんや店のスタッフがその場で作ったラーメンを受け取って席へつく、というもの。調理時間はとても早く、1分で茹で上がるうえにのびにくい埼玉県新座市の「村上朝日製麺所」から直送される麺を使っているため2分ほどで提供される。
店内は壁に沿って設けられたお一人様用の席と中央の大きなテーブル席の全26席。広いわりに席数が少ないのは、混雑する時間帯にテーブル席で相席になっても気にならないように、席の間隔を広くしてあるためだ。
「ワーカーの中でもとくに現場仕事の方は腹ペコで来られますから、ご飯は50円。しかも、おかわり自由にしています。お米は国産で、時期ごとに産地は変わりますが、現在はあきたこまちを使っています」(鈴木さん)
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