東日本大震災は半導体再編を招くか、ルネサス、エルピーダの葛藤

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特に問題なのが、材料不足だ。世界のシリコンウエハの2割を製造する信越化学工業の白河工場の低稼働が続いているほか、洗浄液として使われる過酸化水素も、国内トップの三菱ガス化学の最大拠点である鹿島工場が被災。6月下旬まで通常の生産を再開できない。日本の半導体メーカーは、海外勢に比べ信越化学などへの依存度が高いこともあり、懸念がくすぶる。

ルネサスについて言えば、夏場の電力不足も足かせだ。半導体工場はクリーンルームなどで電力を大量に消費するため、節電となれば、高稼働を維持するのは難しい。

さらに、震災の影響は短期的なものにとどまらない。「震災の影響で、特にルネサスのシェアは下がるだろう。自動車などの大手企業では調達先を分散する動きが広まっている。海外メーカーは今、待っていても引き合いが舞い込む状況だ」(調査会社アイサプライの南川明副社長)。

半導体はスケールメリットがものを言う世界。震災で日本メーカーの地位が下がれば、それは合従連衡の引き金ともなる。震災のダメージは業界地図にも変化を与えそうだ。

(長谷川高宏 =週刊東洋経済2011年5月14日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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