南阿蘇鉄道、熊本地震から完全復旧の1番列車走る 致命的被害の第一白川橋梁も懐かしい姿に

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南阿蘇鉄道の現有車両には、開業当初からの外観を残しつつもエンジン以外の主要機器を一新したMT-2000A形が1両(MT-2003A)、その後の増備で導入されたMT-3000形2両(流線形のMT-3001とレトロ車両MT-3010。車体形状は異なるが走行機器は同一)、トロッコ列車ゆうすげ号5両編成(前後のDB16形機関車でトラ700形2両+TORA200形の客車を挟む)、およびJR乗り入れを前提に新造され今年4月から営業に入ったばかりのMT-4000形2両(MT-4001・4002、新潟トランシス)がある。全線運行再開初日は一般気動車のみの運行とされたが、翌16日からの土休日は「トロッコ列車ゆうすげ号」2往復も全線運転を始めている。

また、MT-3010号については、熊本出身の漫画家で超人気作品『ONE PIECE』を描く尾田栄一郎氏が熊本県とタッグを組んで進めてきた「ONE PIECE熊本復興プロジェクト」の一環として、同作品に海賊船として登場する「サウザンド・サニー号」をモチーフに内外装をラッピング装飾し、7月22日から「サニー号トレイン」となった。

マンガ学科新設で高森高校への通学も増

MT-4000形は朝2往復の肥後大津直通列車にもっぱら充当される。それ以外の列車にはMT-2000形やMT-3000形がMT-4000形と合わせて使用されるが、3010号「サニー号トレイン」は露出機会を増やす必要があるため、木~日曜日と祝日の高森9時10分発と立野12時07分発には1両で、ほかに午後の列車2往復に他の車両との併結運転で充当されることになっている。

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全線運転再開後は、不通期間中は立野まで家族の送迎に頼っていた熊本方面への通学生の列車利用が戻ってきている。また、県立高森高校が全国初としてプロの漫画家を養成する「マンガ学科」を新設したため、広域から高森への通学も見られるようになった。運転再開で注目度が高まっているため日中の観光客利用も旺盛になっているが、その一方、車内での運賃収受に現金のやりとりがあるため、10分程度の遅れなども生じているようである。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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