「テキサス新幹線」実現へ前進?強力な援軍現る アムトラックと協業検討、補助金申請も
連邦政府から補助金を引っ張ってきたとなれば、アムトラックはアドバイザーのような補佐的な位置付けではなく、プロジェクトの当事者として事業に本格的に関わるのは確実だ。その関わりかたは決まっていないが、たとえば、TCとアムトラックが共同で事業を運営する、いっそのことアムトラックがTCを子会社化するといったことも考えられる。補助金は早ければ9月ぐらいには承認されるという。補助金の獲得が資金調達に追い風となり、資金調達のメドが立てば、プロジェクトは着工に向けて動き出す。
では、なぜアムトラックはテキサス高速鉄道プロジェクトへの関与を深めようとしているのだろうか。関係者によれば、そのきっかけは2022年3月にさかのぼる。なかなか資金が集まらない状況を打開すべく、TCは経営陣を刷新し、事業をどのように軌道に乗せるかさまざまなプランを検討した。そのアイデアの1つにあったのがアムトラックとの協業の深度化だ。アムトラックもほかの場所でゼロから高速鉄道プロジェクトを立ち上げるより、すでにスキームが固まったテキサスのプロジェクトに乗るほうが時間的に早いと判断したに違いない。
新幹線方式拡大のきっかけにも?
テキサス高速鉄道プロジェクトは紆余曲折を経て、ようやく全体像が固まってきた。
資金調達と同じく難航を極めていた用地買収も進み始めた。沿線住民がTCは鉄道会社ではなく土地を強制的に有償で購入する権利(土地収用権)がないとして訴訟を起こしていたが、2022年にテキサス州最高裁がTCは鉄道会社であり土地収用権があると認めたためだ。
テキサス高速鉄道プロジェクトへのアムトラックの参加はさらに重要な意味を持つ。アムトラックが新幹線方式での運行が有益であると判断すれば、将来、ほかのエリアで高速鉄道計画を進める場合にも新幹線方式を活用するかもしれない。それは日本にとっても悪いことではないはずだ。
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