「テキサス新幹線」実現へ前進?強力な援軍現る アムトラックと協業検討、補助金申請も

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今回の発表は、両者の関係をさらに深めることを検討すると伝えている。その内容は具体的に記されていないが、関係者によると、アムトラックがテキサスの高速鉄道事業に深く関与し、懸案となっている資金調達の問題にも好影響を与える可能性があるという。

Acela Express AMTRAK
アムトラックがワシントンDC―ニューヨーク―ボストン間の「北東回廊」で運行する高速列車「アセラエクスプレス」(記者撮影)

同じアメリカのカリフォルニア州ではサンフランシスコとロサンゼルスを結ぶ高速鉄道計画が進んでいるが、事業主体はカリフォルニア州高速鉄道公社という公的機関であり、公的資金が投入されている。これに対してテキサス高速鉄道計画は民間のプロジェクトであり、基本的には民間から資金を調達する必要がある。

初期段階の事業費総額は120億ドル(約1兆7450億円)程度とされていたが、インフラ建設費や人件費の高騰により、2020年の時点で200億ドル(約2兆9082億円)に膨らんだ。現在も建設費などの高騰は続いており、計画が本決まりになった段階では事業費はさらに膨らんでいる可能性がある。

資金調達の追い風に?

車両は新型新幹線「N700S」をアメリカ仕様に改良し、車両製造を含む新幹線システムの供給は日立製作所、東芝インフラシステムズ、三菱重工業、NECなどで構成される日本連合が担う。開業後に運行を担当するのは高速鉄道運行の実績を持つスペイン国鉄(Renfe)。車両の保守は日立が行う。JR東海はTCに技術支援を行うほか、車両供給の面でも走行試験や検修トレーニングなどで参加する。

N700S 新幹線
テキサス高速鉄道は新幹線N700Sをベースにした車両を導入する計画だ(撮影:尾形文繁)

資金はプロジェクトが生むキャッシュフローを返済原資とするプロジェクトファイナンスで調達するとみられる。資金調達がままならない理由は、コロナ禍による景気の変調だけとは言えないだろう。高速鉄道が予定どおり開業し、将来にわたって安定したキャッシュフローを生み出せるか不安視されているか、あるいはアメリカでは前例のない新幹線方式という点がネックになっているかもしれない。その点、アメリカでの鉄道事業に深いノウハウを持つアムトラックが経営に深く関わるとなれば、資金の出し手も安心するだろう。

それだけに期待されているのがアムトラックとの連携だ。関係者によれば、アムトラックは連邦政府に補助金を申請中という。この補助金とは、バイデン政権が2021年3月に発表した総額2.3兆ドル(約334兆4460億円)の巨額のインフラ投資計画を原資としたもので、うち800億ドル(約11兆6320億円)が鉄道の整備にあてられる。

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