マツダ、反転攻勢をもくろむ「中国」に漂う暗雲 ピークの4分の1に縮小した中国販売の反転策は

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第1四半期における中国の販売台数は前年同期比17%減となる2万台にとどまった。そもそもマツダの中国での販売は、2017年度の32.2万台をピークに2022年度には8.4万台まで縮小。2023年度は48%増の12.5万台を目指しているが、現状は反転増どころではない。

川村修・常務執行役員は、「中国市場は電動化のスピードが速く、マツダの競合となるガソリンエンジン搭載車でも価格競争が激化しており、販売台数が減少した」と厳しい表情を見せた。ガイトンCFOは、「第2四半期までの取り組みや実績を踏まえ、中間決算のタイミングで通期台数見通しの見直しも検討していく」と通期見通しの下方修正も示唆した。

もっとも、グローバルの数字はさほど悪くない。

第1四半期のグローバル販売台数は30.9万台で前期比32%増を記録した。前年同期には上海都市封鎖に伴う供給制約が日本や欧米にも及んでいた。その回復があることに加え、マツダが「ラージ商品群」と呼ぶ中大型の上級SUV(スポーツ多目的車)が販売を伸ばした。

中国とASEANが台数を大きく落としたものの、”最重要市場”であるアメリカの好調がその影響を補い、年間130万台のグローバル販売計画に対して「概ね計画通り」(川村常務)の進捗だという。

営業黒字化した業績はそれなりに健闘

結果、第1四半期の売上高は1兆909億円で、前年同期比76.8%増と大きく伸びた。営業利益は300億円(前年同期は195億円の赤字)と水準こそ低いが、リコールに関わる品質費用増加が150億円の利益押し下げ要因となったことを勘案すれば、それなりに健闘したといえる。

日欧などに昨年から導入している「CX-60」と、4月にアメリカで発売した「CX-90」のラージ商品群は、マツダ車の平均と比べて「台当たり利益がほぼ2倍」(ガイトンCFO)で、収益力の改善に貢献している。

不振の中国事業は出資の持ち分法適用であることも、連結売上高や営業利益が伸びた理由だ。もちろん、持ち分法投資利益だからといって中国の不振を放置していいわけではない。第1四半期の持ち分法投資利益は、前年同期の80億円から17億円に減少しており、このままでは通期業績の足を引っ張ることは確実だからだ。

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