中国車載電池CATLの「上期最終益2.5倍」の凄み 逆風下、蓄電システム向けや原材料下落が寄与

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CATLは政府の補助金打ち切り、競争激化など逆風の中でも利益を倍増。写真は福建省寧徳市の本社ビル(同社ウェブサイトより)

中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が7月25日に発表した2023年1~6月期決算は、売上高が前年同期比67.5%増の1892億5000万元(約3兆7396億円)に、最終利益は同2.53倍の207億元(約4090億円)に達した。

2022年末に「新エネルギー車」購入時の中国政府からの購入補助金が廃止されたことに加え、 2023年第1~3月期には中国の新エネルギー車市場の価格競争が起きるなどの逆風が吹いたが、増収増益を達成した。

(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

増収に寄与したのは、全売上高の73.7%を占める車載電池に次ぐ規模の蓄電システム向け電池事業。部門別売上高は前年同期比2.19倍となった。非鉄金属情報サイト「上海有色網」によると、2023年1~6月期のCATLの蓄電システム向け電池生産量は世界第1位だった。

2023年1~6月期には前年同期に高騰していた川上の電池原材料価格は急落し、車載電池と蓄電システム向け電池の粗利益率が、それぞれ20.35%と21.32%と大幅に上昇した。

2番手BYDとのシェア格差縮小

本記事は「財新」の提供記事です

一方、中国国内市場の競争は激化しており、中国汽車動力電池産業創新連盟のデータによると、2022年の車載電池の国内市場シェアはCATLが48.2%、国内EV最大手の比亜迪(BYD)が23.4%だったが、2023年1~6月期には、CATLのシェアが43.4%に低下した一方、BYDは29.8%に上昇した。

こうした状況の下、2023年1~6月期にCATLは在庫削減を進めた。6月30日時点の在庫は489億元(約9663億円)で、2022年末時点の766億7000万元(約1兆5150億円)から36.2%減少した。同社は決算説明会で、1~6月期の在庫減損処理額が約16億元(約316億円)に達したことを明らかにした。

国内市場での競争が激化する中、CATLは海外市場での拡大機会を積極的に探っている。2023年1~6月期の海外売上高は671億7000万元(約1兆3273億円)と、前年同期の2.95倍に膨らみ、全売上高に占める比率も35.5%に上昇した。ドイツ工場はすでに稼働、現在は生産能力の増強段階にある。またハンガリーでも段階的に工場建設を進めている。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は7月26日

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