ここからは、【佳作】に入選した作品をいくつか抜粋して紹介しよう。
面接官から学生への質問が中心となりがちな面接であるが、面接の最後には面接官から学生に「何か質問はありますか?」と、逆質問の機会を与えることが一般的である。
「御社で活躍される社員の方には、どのような共通点がありますか」とか、「入社までに身に付けておく、あるいは覚えておくと役立つことを教えてください」といった質問が多く、「〇〇様が仕事でやりがいを感じられる時はどんな時ですか」など、面接官自身に対して質問を投げかけてくることもある。
ただ、今回のように「社長の長所」を聞いてくる学生はまずいない。想定外の質問に戸惑うとともに、「そもそも、社長のいいところなんてあったけな?」と、自問自答する採用担当者の姿が笑いを誘う。次回以降は即答できるように、社長のいいところを1つくらいは事前に考えておいたほうがよさそうである。こんな逆質問は愉快だし、採用担当者の印象にも残りやすい。
ちなみに、この作者は前回、前々回と2年連続で最優秀賞(前回は最優秀賞が2作品)を受賞した実績のある強者である。今回は残念ながら3連覇達成はならなかったが、次回作での最優秀賞返り咲きに期待したい。
コロナ禍では面接のオンライン化が一気に進み、2020年以降、対面での面接は実施したことがないという企業も少なくない。
ただ、今年5月には新型コロナも5類に移行したことや、オンライン面接では学生・企業双方の理解度が浅くなりがちだという反省もあり、2024年卒採用では久しぶりに対面での面接を復活させた企業が多い。
採用担当者もはにかんでしまう
オンライン面接ではPC横に貼ったメモを見ながら話すこともできたし、目線が合わないことも不自然ではなかった。
それに対して、対面では手元資料もすべて見られてしまうばかりか、目線をどこに合わせて話すべきなのか、気恥ずかしさもある。学生だけでなく、採用担当者までもがハニカミながら向かい合う姿が初々しく感じられる。
ところで、最後の「戸惑う二人」のフレーズから、松山千春のかつてのヒット曲『長い夜』の歌詞をついつい連想してしまうのは私だけだろうか。
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