インド進出の日系企業でいかにインド人管理職をマネジメントするか
--確かにそれはおかしい会社ですね。
同じ指導を、なぜか身内にはあまりやらないのです。海外部門も同じで、本社スタッフが現地法人に行くたびに営業担当が違う、経理担当が違う、とかあるわけです。これは現地法人マネジメントに問題がある可能性もある。そして本社側がそういう状態を放っておいたりするのはよくない。
■まずは裁判で相手を一発ぶん殴る
--「インド人は転職しやすい」「インド人のせい」としてしまったりするのはよくないということ、また本社側が現地側の報告を鵜呑みにするのもよくないですね。
とにかくインドの場合、訴訟に対してのハードルが低いです。会社が訴訟してきたらそれは本気ですからね。インドでは財閥系などオーナー企業が多いので鶴の一声で意思決定がなされることが多い。法的な予算を取りやすい、というのはあるかもしれません。
中堅企業でも億単位のリーガルコストをかけて裁判を仕掛けてきます。経営者によっては「まずは裁判で相手を一発ぶん殴ってから交渉してやろう」と考えている場合もあります。そこは日本企業と決定的に違います。日本だと企業が訴えるのは特許侵害などに限られてきます。訴えられた場合の被告としての予算は下りるが、訴えるための原告としての予算はない、というのが日本企業です。インドの場合は原告の予算が取れる。ではどうしたらいいか
労務管理にしても対企業にしても紛争の芽を早く摘むというのが大事だと思います。いったん、裁判になってしまうと10年、15年、20年とかかりますので大変です。安心してビジネスができるように、そこそこのところで手を打つ必要があります。そして本社側が現地法人とかかわり続けることが大事です。
小川浩賢 おがわ・ひろまさ
小島国際法律事務所パートナー。中央大学法学部卒、1993年弁護士登録、小島国際法律事務所入所 (2000年よりパートナー)。専門分野は国際企業法務、対外直接投資(特にインド)、倒産法、国際・国内税務(争訟を含む)、労働法など。
須貝信一 すがい・しんいち
1973年生まれ。法政大学英文科卒業。外資系IT企業、インド関連コンサルティング会社にて取締役として事業の立ち上げ等を経て、現在はネクストマーケット・リサーチ代表取締役。中小企業診断士。
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