「資源に無知すぎる日本人」が巻き込まれる大問題 「知らない」と損をするし、危険も迫る
「資源」が私たちの生活に欠かせないものであることは誰もが知っています。エネルギーや有用な元素を供給してくれる鉱産資源は、46億年に及ぶ地球の歴史のなかで培われてきました。すなわち、太陽系の第三惑星として成立するうえでの地球固有の特殊な環境の中で、貴重な資源の数々が誕生したのです。
国土が狭く険しい山地の多い日本列島は、世界でも有数の地殻変動地帯にあります。そのためヨーロッパやアメリカをはじめとした大陸地域とはまったく異なる環境にあります。このことは、地下資源の誕生と胚胎についても大きく影響し、わが国のエネルギーと環境の諸問題はつねにこうした制約下に置かれています。
日本人の「資源」知識は中学生程度
地下資源が私たちの生活に不可欠であるにもかかわらず、その地球科学的な知識を備えている人は多くありません。それはななぜなのか−−私の近著『世界がわかる資源の話』を書く動機は、まさにそこにあったといってもよいのです。日本人の資源リテラシーの低さについて考えてみるうち、3つの理由がわたしの頭に浮かびました。
1つ目は、そもそもテーマとして大きすぎて、自分に身近なことと思えないから。2つ目は、それゆえに「知ったところでその知識を生活でどう活用すればよいかわからない」から、です。
3つ目の理由は、資源に関する学校教育にあります。実は、ここ20年ほどのあいだ、高校生の大半は地学についてほとんど学んでいません。高校の理科教科である「地学」を履修した生徒は、全国でわずか5%くらいしかいないのです。
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