バーベキューで注意すべき「3つの細菌」と症状 腐った食品を食べても「食中毒」にならない?
そして実は一番危険なのは、「細菌だったら抗生剤が効くのでは? 早めに服用すれば軽症で済むのでは?」という安易な対処だ。
菌を殺す=壊すことで、菌体に含まれるベロ毒素がばらまかれ、より重症化を招く。過去に医師に処方された抗生剤を保管しておいて自己判断で服用される方は少なくないが、それが命取りになりかねないのだ。
O157(その他EHEC)は、100個程度の少ない菌数でも感染して発病することがある。食べ物のにおいや味では菌が増えているかどうかわからないので、とにかく低温管理を徹底するしかない。
なお、今年は日本各地でO157による食中毒の報道が相次ぎ、久々に多発しているように感じるかもしれない。ところが実際は、報道がコロナ一色だっただけで、この10年ほどは毎年、O157食中毒も有症者が2500人ほどしっかり発生していた(国立感染症研究所「感染症発生動向調査」)。
「治ったはずの1〜3週間後」が怖いカンピロバクター
「鶏肉や豚肉はよく加熱するように」と聞いたことがあるかもしれない。カンピロバクターももともとは、鶏や豚、牛などの消化管に棲んでいる細菌だ。
ところが、10年前の調査では、国内の食肉用ブロイラーのカンピロバクター保有率は67%だった(農林水産省)。時期や養鶏場によっては、100%近く汚染されている場合もあるという。
カンピロバクター食中毒で特徴的なのは、38〜39℃程度の高熱が出ることだ。そして腹痛が起き、下痢をする。通常は1週間程度で自然に治まっていくため、受診しても整腸剤や解熱剤で治療するくらいで、抗生剤治療は滅多に行わない。
ところが厄介なのは、それから1〜3週間後に「ギラン・バレー症候群」(急性炎症性脱髄性多発根神経炎)という厄介な合併症を引き起こすことだ。体中の神経が機能しなくなり、結果として筋肉が動かなくなり、呼吸もできなくなり、放置すれば死に至る。発病すると1年前後の療養生活を送らねばならず、しかも完全に回復するわけではない。
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