バーベキューで注意すべき「3つの細菌」と症状 腐った食品を食べても「食中毒」にならない?

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なお、細菌は65℃以上の加熱で殺すことができる。だが、バーベキューなど慣れない環境で調理すると、加熱が不十分になりやすい。また水道設備や石けんなど手洗い環境が整っていないと、食中毒が起きやすい。多いのは、生肉を切って汚染されたまな板や包丁、手などを使って、サラダや漬物など生食する食物を扱ってしまうパターンだ。

今回はバーベキューで問題になりがちな3つの細菌と対策を覚えておいていただきたい。

肉類で食中毒が問題になる細菌は通常、家禽(鶏など)や家畜(豚や牛など)の消化管に棲みついていたものだ。それが食肉に解体する過程などで鶏や豚の肉に付着し、生焼けで食べて食中毒を起こすことが多い。

「自己判断の抗生剤服用」が命取りのO157

焼き肉等による食中毒で有名な「O157」は、大腸菌の一種だ。

「大腸」菌と言うだけあって、動物の消化管に棲みついている。もちろん人間の大腸にも定着しているし、それらは極端な話、舐めても無害だ。一方で、生肉についている大腸菌、つまり家禽(鶏など)や家畜(豚や牛など)の消化管には、人体に有害な毒素を産生する大腸菌もいる。

とりわけ毒性の強い「ベロ毒素」を出す大腸菌(腸管出血性大腸菌、EHEC)の1つが、O157である。

主な症状は、発熱、下痢、血便だ。最悪の場合、「溶血性尿毒症症候群」などを起こし、呼吸能力が低下し、血圧が下がり、尿が出なくなる。最終的には意識が混濁し、多臓器不全によって死に至る。

ベロ毒素が血液中で、血管の内側の壁(血管内皮細胞)を傷つけるのが原因だ。血管内皮細胞の働きが妨げられると血液が固まって、血流が止まる。血液は全身に酸素を運んでいるので、酸欠となった脳や心臓や肺、腎臓など生命維持に必要な臓器は、機能できなくなる。

ベロ毒素に弱いのは子供と高齢者だが、健康な若者もリスクはゼロではない。

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