かつての「バブル経済」や「失われた30年」と同等か、それ以上のインパクトが2025年以降の日本で「団塊の世代の介護」として発生することになります。
この2025年以降で注目されるのが、「ビジネスケアラー」の存在です。
ビジネスケアラー=働きながら介護する人
「ビジネスケアラー」とは、「働きながら介護をする人」「仕事と介護を両立している人」という意味です。
次の図を見てください。これは、弊社の独自調査(サンプルサイズ3万878人)をベースとした、「現在、仕事と介護の両立をしているビジネスケアラー」と、「いつ介護が始まってもおかしくないと想定されるビジネスケアラーの予備軍」に関する最新データです。
現在進行形のビジネスケアラーだけに注目すれば、すでに45~49歳で20人に1人、50~54歳では8人に1人が当事者です。そのうえ予備軍まで含めると、この問題が社会レベルで重要なものであることがはっきりと認識できると思います。
これこそが、人類史上かつてない高齢化の現実なのです。数年以内に、とんでもない数のビジネスケアラーが、日本全体の生産性問題の真因として、大注目されるようにもなるでしょう。
ビジネスケアラーが、日本企業で急速に増加すると予測されます。
経済産業省は、2023年3月、2030年には家族介護者が833万人に上り、さらには、ビジネスケアラーが318万人になるとの予測を発表しています。
そもそも、少子高齢社会で人材が不足している状況で、管理職として活躍している人材も多い40~50代の人間が介護でパフォーマンスが大幅に低下、あるいは離職してしまっては、日本経済の生産性の面でも困るのは自明です。
ビジネスケアラーがどうやってうまく仕事と介護を両立させていくかは、個人の問題でもありますが、日本社会全体の問題でもあるのです。
ビジネスケアラーの中心となる現代の40~50代は、過去の40~50代とは異なり、未婚率も高く、兄弟姉妹が少ないという点も無視できません。ですから、介護が始まったとき、昔よりも介護の負担を親族で分散しにくいという特徴があります。
さらに専業主婦が減っていることも、この問題に拍車をかけています。
また、20~30代の若手にもビジネスケアラーが発生している背景は、晩婚化によって親子の年齢が昔よりも離れていることと、孫として祖父母の介護に直接・間接に関わるようになっていることがあります(10代以下でも介護に関わるヤングケアラー問題も同じ)。
兄弟姉妹が少ない時代には、子どもだけで親の介護をこなすことが難しく、孫もまた、介護のリソースとして駆り出されることになるのです。
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