抜かりなく計画を立てていそうで、結構スキだらけの杏子でもありますが、演じる永野芽郁がつねに健気な表情を見せてくれるものだから、応援モード全開で見る人も多いはず。恨みを募らせて仕返しするのではなく、母親と妹、そして自分のためであることがひしひしと伝わってきます。復讐劇として見ると、ぬるま湯的でも、杏子のかつて実家だった御手洗家で13年前に起こった火事の真相をただただ突き止めていく情け深い話なのです。
永野芽郁と鈴木京香が演じる復讐劇
程よくイラつかせる登場人物たちが揃いに揃っていることも人気の理由にあるでしょう。
その筆頭にいるのが、憎たらしい真希子です。鈴木京香のハマリ役ぶりが楽しめるわけですが、貧困シングルマザーから脱して、SNSでチヤホヤされるセレブ妻に成り上がり、しかも杏子の父親の再婚相手で、杏子の母親の元ママ友という近すぎる関係はあまりにも滑稽です。勘が鋭く、ずる賢いように見えるのに、復讐を企てる杏子を目の前にして実はとんでもなく鈍感なのが気になってしまいます。
真希子の連れ子の希一を工藤阿須加が、真二を中川大志が演じ、この2人もしっかりやきもきさせてくれます。単なるサブキャラに終わりません。
杏子の妹に至っても、余計なことを繰り返しがち。「全裸監督2」のヒロインだった恒松祐里が演じているとはわかりにくいほど、ドジキャラです。クセが強い登場人物ばかりなので、杏子の母親役である吉瀬美智子の存在感が薄い感じもします。
これまで挙げたすべての登場人物たちと直接的につながりを持つのが、及川光博が演じる父親なのですが、この父親が実は最も程よくイラつかせます。「13年間、私たちに連絡ひとつ寄こさない人だよ。信用できないし、今は敵だよ」と、杏子が父親のダメさ加減を説明するのですが、その通りです。ともすれば、嫌悪感を生み出すようなキャラクターですが、ただただ病院経営が忙しいというリアリティのない理由と、及川のコメディ調の演技によって、「しっかりしてよ、ミッチー」などと茶化しながら楽しめます。
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