中国で「日本車が総崩れ」不安視される撤退ドミノ 20年前後から外資と現地の合弁企業淘汰始まる

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中国の市場関係者は広汽三菱について、「車種が少なく、価格は高い。技術で見るべきものもない。衰退は必然」と声をそろえる。三菱自の中国市場に対するやる気の薄さを表しているとやり玉に挙がるのが、SUVのEV「エアトレック」だ。

同社が中国で投入する最初のEVとして注目されたが、広汽グループ傘下のEV企業が展開する「アイオンV」とプラットフォームやパワートレインを共有し、三菱自ブランドのため価格はアイオンVより高い。結果、消費者はアイオンVに流れ、エアトレックの月間販売台数は2023年は3月を除いて1~2ケタ台で推移している。

マツダの販売台数は5年で4分の1

2000年代に中国人女性に大人気だったマツダも崖っぷちだ。

同社は7月、2003年に始めた一汽乗用車への生産委託を終了した。一汽乗用車は吉林省長春市の工場でセダン「マツダ6」とSUV「CX-4」を生産していたが、両車種の在庫がなくなり次第中国での販売も終えるという。

マツダの中国での販売台数は2018年3月期の32万2000台をピークに減少が続く。2020年11月に「中期経営計画見直し」を発表し、中国販売を年間40万台まで引き上げる目標を掲げたが、2022年3月期に17万台と、20万台を割り込み、2023年3月期は8万4000台とさらに半減した。

マツダも三菱自同様、中国で展開する車種が少ないうえに、唯一のEV「CX-30 EV」は中国で「油改電」と呼ばれるガソリン車を電動式に改造したもので、現地消費者には時代遅れに映る。

マツダは2021年に2つあった合弁会社を長安マツダに統合し、販売店の整理を進めている。毛籠勝弘社長が社長就任翌日の6月下旬に中国を訪れるなど、立て直しへの意欲を見せるが、EV新車種の投入にはなお時間を要する見込みで、踏みとどまれるかは不透明だ。

中国汽車工業協会によると、今年1~6月の日系ブランドのシェアは14.9%。1年前の20%から急落し、国別で見ると落ち込みが最も大きい。ただ、中国の自動車市場全体を見ると、外資系と現地企業が組んだ合弁メーカーの淘汰は2020年前後から始まっている。

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