ニューヨークで「ビル空室率が急上昇」のなぜ テック産業の後退がマンハッタンに落とす影
新型コロナ禍の期間も含めた過去20年の大半において、テック企業はニューヨーク経済の輝かしい場所であり、高収入の雇用を多数生み出し、オフィススペースを何百万平方フィートにも広げていた。
その成長は税収を押し上げ、ニューヨークをサンフランシスコ・ベイエリアの有力なライバルとし、テック企業がもたらす雇用機会は、コロナ禍や2008年の金融危機の時期には他のセクターで解雇された人々を吸収する助けとなった。
ところが、そのテック業界は今、リストラをハードに推進。ニューヨークの未来に暗い影を落とすようになっている。
本丸サンフランシスコのオフィス空室率は25%超
テック業界のレイオフを追跡しているサイト「Layoffs.fyi」によると、さまざまな経営課題に直面している大手テック企業は2022年初頭以降、世界で38万6000人を超す従業員を解雇。こうした人員削減や在宅勤務への切り替えによって、テック企業が引き払ったオフィススペースの面積は数百万平方フィートにのぼる。
その影響はテック企業の拠点地域の多くに及んでおり、中でも最大の打撃を受けているサンフランシスコのオフィス空室率は、ニューマーク・リサーチによると25.6%に達している。
ニューヨークの状況はサンフランシスコほどひどくはなく、マンハッタンの空室率は13.5%にとどまっているが、もはやテック産業の成長を当てにすることはできなくなった。ニューマークによると、現在マンハッタンでサブリース(転貸)に出されている約2200万平方フィートのオフィススペースの3分の1以上は、テクノロジー、広告、メディア関連企業から来ている。