ニューヨークで「ビル空室率が急上昇」のなぜ テック産業の後退がマンハッタンに落とす影

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ニューヨークで拡大を続けている大手テック企業も少数ながら存在する。

グーグルは来年早期に、マンハッタン南端部のハドソン川近くに大規模オフィス、セント・ジョンズ・ターミナルをオープンする予定。同社の担当者によると、このターミナルも含めると、グーグルがニューヨークで所有もしくは賃借するオフィススペースは現在の約600万平方フィートから約700万平方フィートに増加する(うち100万平方フィート超はグーグルが別のテナントに貸し出すリース物件である)。ニューヨークエリアの従業員数は2019年には1万人超だったが、現在では1万2000人を超える規模となっている。

2024年にグーグルが入居予定のビル(写真:Tony Cenicola/The New York Times)

アマゾンは2019年、同社に対する優遇措置に地元政治家が反対したため、クイーンズにおける大規模拠点建設計画を撤回したが、それでも2019年以降、ニューヨークのほか、ニューヨークに近いニュージャージー州のジャージー・シティとニューアークに20万平方フィートのオフィススペースを新たに確保した。

アマゾンは、2020年に11億5000万ドルで買い取ったロード・アンド・テイラー百貨店の元旗艦店ビル(5番街424)に近くオフィスを新規オープンする予定。これにより同社のオフィススペースの面積は約55万平方フィート増えることになる。

ユニオン・スクエア・ベンチャーズの共同創設者、フレッド・ウィルソンは、テック企業の経営陣はシリコンバレーを拠点とする必要性をそれほど感じなくなってきており、ニューヨークはそうした変化の恩恵を受けていると語った。「コロナ禍以前と比べ、ニューヨークで活動する企業のCEOや創業者が増えている」。ウィルソンは投資先の企業名を引き合いに出しながら、そう言った。

スポティファイが「Iターン」

それでもやはり、多くの企業は人員とスペースの巻き戻しを進めている。

ストックホルムを本拠とするスポティファイは2017年と2019年に、4 ワールドトレードセンターで合計56万4000平方フィート超のスペースを借りる契約を結び、同センターで最大のテナントのひとつとなった。明るい色調のフレキシブルなワークスペース、目を見張るような眺望、卓球台など、テック企業に期待されるあらゆる道具立てがそろったオフィスがすぐにできあがった。

ところが今年1月、スポティファイは同社の世界従業員の約6%にあたる600人の解雇を発表。従業員に、完全なリモートワークか、出社とリモートを組み合わせたハイブリッド勤務のどちらかを選択できるようにしている同社は、オフィススペースも縮小し、5フロアをサブリースに回すことになった。

(執筆:Julie Creswell記者、Peter Eavis記者、Emma Goldberg記者、Matthew Haag記者)

(C)2023 The New York Times 

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