ニューヨークで「ビル空室率が急上昇」のなぜ テック産業の後退がマンハッタンに落とす影

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

フェイスブックとインスタグラムを傘下に持つメタも、そのひとつだ。メタは今年、ニューヨーク州の従業員の4分の1に当たる約1700人を解雇し、マンハッタンでむさぼるように拡大してきた220万平方フィートを超えるオフィススペースのかなりの部分を吐き出そうとしている。同社は、ハドソン・ヤードの25万平方フィートとパーク・アベニュー・サウスの20万平方フィートのリース契約を更新しないことにした。

スポティファイは6年前に「4 ワールドトレードセンター」に借りた16フロアのうちの5フロアをサブリースに出そうとしており、動画配信事業を手がけるロクも昨年タイムズスクエアで確保した24万平方フィートの4分の1を早くも貸しに出すことになった。ツイッターやマイクロソフトなども、不要になったオフィススペースのサブリースを試みている。

NYオフィス市場におけるテック企業の存在感

「ここ5年、不動産市場ではテック企業の存在が非常に大きかった。これらの企業が(人員やオフィススペースの)削減に動いているとみられる中で問題となるのは、それに代わる業界はあるのか、ということだ」。不動産仲介会社ウォートン・プロパティ・アドバイザーズのCEOルース・コルプ=ヘイバーは、そう話す。

スポティファイは6年前に「4 ワールドトレードセンター」に借りた16フロアのうちの5フロアをサブリースに出そうとしている(写真:George Etheredge/The New York Times)

州会計監査官によると、大小のテック企業は2021年末までの5年間でニューヨーク市に4万3430の雇用をもたらした。しかも、それらの収入はとても高かった。同会計監査官によると、2021年のテック企業の給与は平均22万8620ドルと、ニューヨーク市の民間給与の平均のほぼ2倍だった。

こうした雇用の増加によって商業スペース需要が高まり、ニューマークによると、近年マンハッタンで新たに結ばれたオフィスリース契約の約4分の1がテクノロジー、広告、メディア関連企業によるものとなっていた。

マイクロソフトとスポティファイは、サブリースの決定についてコメントせず、ツイッターとロクはコメントの求めに応じなかった。メタは声明で「分散型の働き方にコミット」しているとし、その手法を「絶え間なく洗練させている」と述べた。

次ページNYに恩恵をもたらしたテック企業の東海岸シフト
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事