そして、日本でも様々な学習用アプリがすでに公開されている。こうした動きは、学習塾、予備校、各種セミナー業などに対して、きわめて大きな影響を与えることになるだろう。
文部科学省は、中学高校の英語教育で対話型人工知能(AI)を導入する。生徒のレベルに応じて自動で受け答えするAIを使い、自宅学習で用いる(日本経済新聞、7月25日)。これによって、英語で話す力の底上げをはかる。
ChatGPTは外国語の勉強に大きな力を発揮する。また生徒のレベルに応じた学習ができるというのも重要な点だ。ただし、会話力増強を目的とする点は賛成できない。私は、英語を書く力の勉強が重要だと考えている。これについては、別の機会に論じることとしたい。
日本はこの大変化に追いつけるか?
アメリカにおいては、ビジネスにおける大規模言語モデルの利用は、すでに現実の問題になっている。これを反映して、サービス提供者側の動きも活発になっている。
6月27日には、米データブリックスがモザイクMLというスタートアップ企業を約13億ドル(約1860億円)で買収すると発表して話題になった。モザイクMLは比較的小さな企業が利用できる大規模 言語モデルの開発を行っている。
また、フェイスブックなどを運営するメタは、7月18日、オープンソース大規模言語モデル「Llama 2」の提供を開始した。研究と商用向けに無償で提供する。これにより、開発者は独自の生成系AIをMicrosoft AzureやWindows上で開発し、アプリケーションに組み込めるようになる。
これに対して、上述のように、日本企業の関心のなさが憂慮される。大規模言語モデルの開発面において日本が後れを取っていることはいかんともしがたいが、それをさまざまな実務に活用することは十分に可能なはずだ。それにもかかわらず、関心もないし 利用への体制作りも進んでいない。
デジタル化の遅れが日本経済停滞の原因であると、しばしば指摘される。いま、大規模言語モデルの活用において遅れを取れば、日本の後れは決定的なものになってしまうだろう。
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