ライブドア事件が残したものとは 堀江被告の実刑が確定
ほかにもグレーだが事件化しなかったベンチャー案件もあったことを考えると、堀江被告が不満を持っても仕方がない面もある。
ライブドア事件以降、日本の株式市場は低迷したままだ。とりわけ新興市場の株価はさえない。ライブドア事件以降に事件化した新興企業の粉飾決算やインサイダー取引、不公正ファイナンスが少なくなかったことを思えば、市場低迷をライブドア事件による委縮だけに求めるのは筋違いではあろう。
ただ、ライブドア事件のあと、堀江被告の言うように「M&Aがやりにくくなった」「コンプライアンス強化で企業活動が停滞している」「個人投資家がゼロサムでギャンブルと同じのFXに移ってしまい、経済の血液である証券取引所にお金がいかなくなった」という面はある。
また、日本のネットベンチャーの元気がなくなってしまったのも事実だ。堀江被告は「M&Aがしづらくなり、ベンチャーのイグジット(出口、投資回収)が見えなくなった」ことをベンチャー停滞の理由に挙げる。
もともと本業が脆弱だったり、問題ある企業のM&Aに熱中しすぎたこともベンチャーがダメになった原因にあると思うが、そもそも「ベンチャーなんていかがわしいもの」「ベンチャーは一発当てたい。いい車に乗りたい、そういった野蛮な野心があっていい」「カネを稼いでから立派なことをすればいい。それ(そういう野蛮な野心やいかがわしさ)を許容する空気が日本にはない」という堀江被告の指摘もまたひとつの真実であろう。
ライブドア事件はこれで一区切りとなる。だが、経済的にも社会的にも強まる一方の閉塞感を打開するために、どこまでの“いかがわしさ”なら活力として認めるのか。考えるべき課題は少なくない。
(山田 雄大 =東洋経済オンライン)
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