現在、地政学的な情勢は複雑かつ不安定であり、中国企業のグローバル展開はかつてないほど大きな試練にさらされている。とくにグローバル自動車企業の戦闘態勢が整っているヨーロッパでは、すでにいくつかの国が行動を起こしている。
トルコは中国のEVに40%の懲罰的関税を課した。また、フランスはヨーロッパ製のEVにのみ補助金を出す決定をしたが、フランスで最も売れているEVのうち3つのモデルが中国製であることから、この措置は中国企業をターゲットにしていると解釈されている。
また、吉利汽車と長城汽車はロシアで自動車を販売しているとして、ウクライナから「戦争支援企業」にリストアップされた。ヨーロッパがこの2つの企業に対して制裁を科すかどうかは今のところ不明である。
ロシアでの市場シェアが50%を超える可能性
日本とアメリカは自動車貿易摩擦で対立していた時期があったにもかかわらず、日本企業はアメリカの工場に無制限に投資することができたが、中国企業にはそのような環境はなく、今後は「さらなる知恵と妥協が必要だ」と前出のコンサルティング会社幹部は指摘する。
最大輸出先でのリスクも依然として残っている。2023年1~5月で、中国車を最も多く輸入した国はロシアだった。2022年2月、ロシアとウクライナの紛争が勃発すると、グローバル自動車企業は相次いでロシアから撤退し、中国企業は一気に進出した。
この年だけで、中国の自動車ブランドはロシアでの市場シェアを9%から37%に伸ばした。さらにロシアメディアは6月、中国ブランドの市場シェアは2023年には50%を超える可能性があると報じている。
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