上海汽車集団はこうした評価を非常に重視している。7月4日、上海汽車集団ドイツ総経理の袁映琛(ユエン・インチェン)氏はインタビューで、「ドイツは自動車発明の地であり、メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンなど世界に名だたる企業があるため、どの国の自動車製品もドイツで認められるのは容易ではない」とし、「その難しさは、外国人が陶磁器を景徳鎮で売ることに似ている」と述べた。
上汽大衆汽車(上海汽車とフォルクスワーゲンの合弁企業)は、中国で最初に設立された自動車合弁会社のひとつである。上海汽車集団がヨーロッパ、特にドイツで高く評価されていることは、中国の自動車企業が「外資誘致」から「海外進出」へと前進したことを意味する。
BYD「この成長期を逃すのが怖い」
これは歴史的チャンスである。中国企業はEVのリードによって、積極的な海外戦略を取ることができる。実際、ほとんどすべての中国企業がこうした計画を矢継ぎ早に発表しているのだ。
2021年5月に海外進出をはたした比亜迪(BYD)は、最近インドにも工場投資をする計画を提出したとロイター通信が報じている(訳注:その後、インド当局が工場計画を拒否したという現地報道が出ている)。BYDは財新に対し「この成長期を逃すのが怖い」と答え、緊迫感を持っていることを明らかにした。
2023年5月、上海汽車集団のタイ工場部品工業団地の建設が始まった。同月、長安汽車は40億元(約780億円)を投じてタイに世界的な右ハンドル車の生産拠点を建設することを発表した。2024年に第1期生産を開始し、同年にはヨーロッパ市場に参入する予定であることを明らかにした。
7月5日、奇瑞汽車は、インドネシア、マレーシア、タイにそれぞれ工場を建設すると発表した。7月17日、マレーシアの首相は、吉利汽車が同国に100億米ドルの投資を計画していることを明らかにしている。
一方、前述のコンサルティング会社幹部によれば、「EVは中国企業にとってグローバル展開を進めるきっかけにはなるが、そのプロセスは日本や韓国の企業ほど順調には進まない可能性がある」という。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら