「ホンダが航空機産業の文化を変える」 ホンダ エアクラフト カンパニー社長に聞く

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開発当初、日本の空を飛ぶことは考えてもいなかった

ーーホンダジェットにかかわって30年近く。率直な感想は?

感無量というところ。自分が設計した飛行機に乗る感慨はそれなりにあるが、日本の空を飛んだ時、本当にこんな時が来るんだなと。空から見る日本は本当に奇麗だ。羽田や成田は交通量の問題があるが、地方から地方に行く時は、(ビジネスジェットが)手段としてはお金に換えられない価値があると強く思った。

ーー国産旅客機としてMRJが初飛行を目指しています。航空機産業には難しさもあると思いますが。

飛行機はいろいろなものが関わっているので、理論だけで決められないことがたくさんある。設計ではさまざまな問題が生じるが、大枠を詰めて、大局的に決めることが非常に重要だと思う。それをきちんとしないと、どこかを変えたら思わぬところで問題が起きて、全部やり直しといったことがすごくある。

日本人が究めるべき分野

「若い有能な人が世界へ挑戦してほしい」(藤野社長)

自分は米国でいろんな飛行機会社の人と仕事をしたり、自分で実際に飛行機を作ったりしているので、ホンダジェットの時はそうした問題はほとんど起きず、かなり全体的にまとめられた。しかし、日本のように航空機の研究開発がある期間ぽっかり空いていると、経験がないんですね。そういう面では、いつかはハードルを越えないといけないと思う。

ーー航空機産業に関心を持つ若い人たちに何か伝えたいことは?

航空機産業は成熟産業で、新しい技術を生み出すためには、各技術分野での高い専門性、深い知識と経験が必要になる。また、安全や信頼性、認定など、他の産業と比べても最も高い基準が要求される産業分野でもあり、世界で結果を出すことは容易ではない。

しかし、”高度な頭脳”が要求されるこの産業こそ、日本人が究めていかなければならない分野だと思う。現在はプロスポーツの分野でも多くの日本人が海外に出ていくようになった。航空機産業でも若い有能な方たちが日本の枠にとどまることなく、世界に挑戦し、世界の一流の人たちと競い合い、活躍していくことを願っています。

(撮影:尾形文繁)

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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