漫画喫茶が賭場に!?借り手優位で相次ぐ賃貸問題 テナント争奪戦で「賃貸保証サービス」需要急増
トラブルを起こさないテナントを入居させたい。その一心でオーナーが頼ったのが、滞納賃料保証会社のSFビルサポートだ。中古ビルの再生事業などを手がけるサンフロンティア不動産のグループ会社であり、オフィス・店舗向け賃貸保証サービス「TRI-WINS(トライウインズ)」を首都圏で提供している。
入居テナントが滞納した賃料を保証するサービスだが、特徴的なのがテナント候補の事前審査だ。SFビルサポートの中村泉社長は、「メガバンク出身者などが審査している。経営者の経歴や出資者、財務諸表を確認するだけでなく、経営者と実際に面談したうえで、そのテナントの成長性と経営を見極めている」と語る。
冒頭のオーナーは、「どんな素性のテナントなのか個人オーナーにはわからない。ちゃんとしたビジネスを営んでいて支払い能力があるテナントなのかどうか、事前審査してくれるのが本当にありがたい」と語る。
テナント審査を必要とするのは個人オーナーだけではない。中小ビルなどを管理する平和不動産プロパティマネジメントの山本勝洋部長は、「問い合わせ対応や設備管理など、煩雑な業務に管理会社は日々追われている。すべての物件の入居希望テナントを正確に審査するのは現実的に難しい」とこぼす。
空室増で中小ビルが苦戦
コロナ前まではオフィスビルの需給が逼迫しており、都内は貸し手優位のマーケットだった。だが、コロナ禍を経てオフィスの空室が増える中、借り手優位のマーケットへと変化した。
大手オフィス仲介の三幸エステートによれば、東京23区における2019年6月時点の全体平均空室率はわずか1.21%だったが、足元では4.93%(2023年6月時点)にまで上昇している。空室面積は、2023年6月時点で約72.3万坪(2019年同期比で約3.37倍)だった。
これまでフロア面積の広い大型ビルは、効率よく貸すため、「フロア貸し」を前提にリーシングするのが主流だった。ところが、足元では管理の効率性よりも目先の稼働率を高めようと舵を切る大型ビルが後を絶たない。
都内に大型ビルを保有する不動産会社の関係者は、「マーケットで泳いでいる魚(テナント候補)が少ないので、フロアを細かく分割して募集をかけている」と話す。こうした大型ビルの方針転換の影響を受けているのが、中小規模のビルだ。
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