三菱UFJFGは優先株転換でモルガン・スタンレーの筆頭株主に。海外業務拡大への第二ステージ
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は21日、米モルガン・スタンレーとの資本業務提携で2008年に引き受けた78億ドルの優先株をすべて普通株に転換する、と発表した。当局の認可と5月に予定されているモルガン・スタンレーの株主総会での承認を経て、早ければ7~8月にも普通株への転換が実施されると、その保有比率は22.4%と同社の筆頭株主になる。また、MUFGの持分法適用会社として、連結決算にモルガン・スタンレーの業績が反映される。
現在、MUFGでは平野信行副社長(兼三菱東京UFJ銀行副頭取)がモルガン・スタンレーの取締役に就いているが、普通株保有による関係強化に伴い、役員派遣を2名に増やす予定。また今後、平野氏の後任にMUFGの常務執行役員である田中正明氏(米州本部長)が就く予定。
平野副社長は、今回の転換について「08年の提携時から、最終的には普通株主になることで強固な関係を築きたいとの意思があった。海外で銀行機能を持つMUFGと投資銀行のモルガン・スタンレーとで、アメリカやヨーロッパ、アジアの共同事業においてさまざまな成果が出ている。お互いの信頼関係が深まったことも大きい」と話した。
普通株転換により、三菱UFJFGの業績への寄与度も従来より高まる公算だ。現状保有している優先株での配当利回りは10%と高く、日本円で約650億前後円の配当収入があり、当期利益には400億円弱が利益貢献する。一方、普通株に転換すれば保有比率22.4%分のモルガン・スタンレーの最終利益がMUFGに寄与する形となる。
モルガン・スタンレーの決算実績を踏まえると、その規模は約800億円弱となり、優先株の保有に比べてその貢献度は約2倍。また、優先株による出資時から株価が上昇しており、普通株の転換で負ののれん代が発生する。MUFGによれば12年3月期中に2000億円程度が特別利益に計上される見通し。