平気で「スーパーの弁当」買う人が見過ごす事実 アスパルテームは幅広い食材に使われている

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ところで、WHOとFAO(国連食糧農業機関)で作るJECFA(合同食品添加物専門家会議)は、アスパルテームについて、1日摂取許容量(ADI)を体重1kgあたり40mgと設定しています。これは体重70kgの人の場合、2000~3000mgのアスパルテームを含む清涼飲料水9~14本分に相当するといいます。つまり、実際には1日にこれほど多くの清涼飲料水を飲むことはないので、心配ないということです。

アスパルテームに「しきい値」は必要か

しかし、発がん性のある物質の場合、放射線と同じように「しきい値」がないという考え方があります。「しきい値」とは、「これ以下なら安全である」という値です。その値がないということは、ごくごく微量であっても危険性があるということです。

新版「食べてはいけない」「食べてもいい」添加物
『新版「食べてはいけない」「食べてもいい」添加物』(大和書房)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

発がんは、細胞中の遺伝子の変異によって起こります。現在は、各種の遺伝子の変異が何段階にもわたって起こり、その結果、がん細胞が発生するという考え方、すなわち「多段階発がん」が有力視されています。

この変異は、遺伝子に作用する物質が1分子でも起こり得るのです。ですから、発がん性物質がごくごく微量であっても遺伝子の変異は起こるのであって、その観点からすると、「これ以下なら安全」という量はないということです。

したがって、アスパルテームに発がん性があるということであれば、「しきい値」は存在しないということになります。ですから、微量であっても摂取し続ければ、遺伝子を変異させて、細胞をがん化させる危険性があることになるのです。

EU(ヨーロッパ連合)では、「予防原則」、すなわち人体に害をもたらす可能性のある化学物質は避ける、という考え方が一般化しています。この予防原則に従えば、アスパルテームは避けるべき添加物といえるでしょう。

渡辺 雄二 科学ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

わたなべ ゆうじ / Yuji Watanabe

1954年生まれ。栃木県出身。千葉大学工学部合成化学科卒業。消費生活問題紙の記者を経て、1982年にフリーの科学ジャーナリストとなる。食品・環境・医療・バイオテクノロジーなどの諸問題を消費者の視点で提起し続け、雑誌や新聞に精力的に執筆し、現在にいたる。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事