ヤフー、スマホ時代へ挑む投資戦略とは 14年度は土俵際で連続増益を死守したが…

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決算会見をする宮坂社長(右)と大矢CFO

大矢俊樹CFO(最高財務責任者)も「ビッグデータの蓄積、データ基盤整備というところで設備投資も高水準になる。何とか増収増益を確保できる領域」とコメントするにとどめた。

ヤフーは「企業買収や設備投資を検討しているため、予想と実績がぶれることや、株主に短期的な視点を持たれてしまうことを避けるため」としている。

広告についても「長期的、中期的なトレンドとしては、PC向けが減少する。それをスマホ向けが補うが、しばらくはPCの減少の方が勝る」(大矢CFO)。当面は厳しい状況が続くようだ。

米ヤフーとの関係変化で海外展開も

ヤフーをめぐっては、36.4%を保有する筆頭株主のソフトバンクに次いで35.5%を持つ米ヤフーが、保有株の売却も検討し始めたことが明らかになった。会見で大矢CFOは「事前に聞いていなかったが、背景を確認するとともに、今後について米ヤフーと話した。株主にデメリットが生じないように密接に協議を行い、最良の方法を考えたい」と、積極的に話し合いを続ける方針を示した。

米ヤフーとの契約により、日本のヤフーは「ヤフーブランド」を使った事業展開が国内に制限されている。だが株売却に伴う契約見直しがあれば、未開拓の海外市場で成長戦略を描く可能性も出てくる。

ネットの主戦場がモバイルに移行する中、再び飛躍できるのか。2012年に宮坂氏が率いる新体制になって3年。日本のインターネット業界の草分け企業は、大きな転機を迎えている。

(撮影:大澤誠)

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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