比企丘陵の起伏をそのまま生かした森林公園。学校のイベントで活用されていたり、アスレチックスがあったり、はたまた巨大な水遊び場があったり、埼玉県の人たちにすればなかなか親しみのある公園のようだ。
東武鉄道でも森林公園までの電車運賃とバス運賃、そして入園料がセットになったデジタルきっぷも販売している。それくらい、ちゃんとした行楽地、というわけだ。
「北口には森林公園で、反対の南口には工業団地があるんです。工業団地ではいろいろな国の人が働いているので、通勤時間帯は国際色が豊かですね。送迎バスも発着しています。駅が開業したときにはほんとうに何もなかったですが、最近は住宅も増えてきていますね」
また、森林公園駅のもう1つの特徴に、野菜を電車で運ぶ駅、ということがある。東松山市周辺の直売所で売れ残った農産物を森林公園駅で電車に積み込んで池袋駅に運び、改札前のコンコースで販売するという2021年から行われている取り組みだ。コロナ禍で相次いだ“貨客混載”の一例といえるだろう。
東上線では”新しい”つきのわ駅
森林公園駅を預かる宮原駅長は、ほかにもつきのわ、武蔵嵐山の2つの駅を管理している。森林公園駅よりも西側(つまり池袋方面とは反対側)の駅だ。これらの駅についても聞いてみよう。
「つきのわ駅はほかと比べると新しい駅でして、2002年に開業しました。森林公園―武蔵嵐山間がちょうど複線化したのと同じタイミングですね。駅の周りは森林公園駅の南側から続く工業団地と、あとは東武の新興住宅地が広がっています。北口には駅のすぐ近くに高校もありますね」
実際につきのわ駅を訪れると、清新なイメージの橋上駅舎は確かに歴史の新しさを感じさせる。そしてよく整えられた駅前広場のすぐ脇には、これまた整然と区画整理された新興住宅地。東京都心から遠いといってもせいぜい1時間、それもだいたいの場合は座って通勤できる。緑も多く、こういうところで暮らすのも悪くないのかもしれない。
北口の駅前広場には区画整理の竣工記念碑が堂々と鎮座している。そしてその隣には、滑川高校(現在は滑川総合高校)甲子園出場記念で寄贈と石碑に刻まれた時計塔。駅長のいう“すぐ近くの高校”はこの滑川総合高校のことだ。
記念の甲子園出場は1998年の夏。のちの“JFK”、久保田智之を擁してベスト16に進出した。ちなみに優勝は松坂大輔の横浜高校である。そして、その頃にはまだつきのわ駅は存在していなかった。
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