NTT鵜浦社長「単純な割引サービスはしない」 大変革期に「民営化30年」の節目
――30年間でNTT社長の役割はどう変化してきたか?鵜浦社長の後継者の課題はどのようなものになるのか?
歴代社長はよく存じ上げている方ばかりだ。その時代に必要な方がされていたと理解している。前社長の三浦惺会長がなぜ私を選んだのかと考えると、変えることが大好きな私の性格が合っていると思われたのだろう。「何かがおかしければ変えなければいかん」という性格は昔からずっとそうだ。たまたま、変えるべきことが多い時期なので、グループ各社にメッセージを出せている。
ただし、私が持ち株会社の役員に就任したのは2002年。当時の持ち株の役割やグループとの関係はまったく異なる。コムと東西の摩擦をどう調整するか、といった時代もあったが、今は電話主体のマーケットが変化し、ワンオブゼムとしてどうあるべきかという議論になっている。10数年前に経営企画担当としてグループの調整役をやっていたときに比べたら非常にやりやすい。また、メインプレイヤーではなく触媒でいいなどと、私自身も考え方や発想が変わっている。後継者が何をしていくべきか、その答えが分かっているなら今年交代してもいい(笑)。
割引ではなく、付加価値を提供
――NTT東西が光回線サービスを卸売りし、さまざまな事業者と組んでサービスを提供する「光コラボレーションモデル」が3月に始まった。滑り出しはどうか?
ユーザーからの事前予約が積み上がり、消化が大変な状況で混乱した面もあったようだ。数字は申し上げられないが、意外にも新規販売のウエイトが高く健闘している。コラボ先として、通信事業者など個別に料金回収の仕組みを持っている会社がサービスを始めているが、今後は割引だけでなく、付加価値のあるサービスを提供する。以前から申し上げているが、短期ではなく中期でサービスを作り出していきたい。
よく聞かれることだが、電気料金と通信料金の単純な割引サービスなんて、私は嬉しくも何ともない。電力やガスを組むことを否定しているわけではないが、何を作り出していくのかを議論した上でやっていきたい。
――海外でM&Aを進めているが、政府が株式を保有していることの影響はないか?
M&Aは必要があればやるもの。基本的にはクラウドのビジネスの中で足りない要素を補うためにやる。グループ会社や持ち株が買収した会社の多くは理念やR&Dの方針などに共感してもらって加わっている。これからもそのアプローチは変わらない。最近はようやく、極東の電話会社のイメージからグローバルのビジネスにチャレンジする会社になってきたところだ。
政府の保有が障害になったことはないし、そもそも私が決める問題ではない。そのことを言い訳にしたり、影響が出ないようにするのは私の仕事だが。
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