コンビニ加盟店オーナーは経営者か労働者か ファミマに対して都労委が救済命令

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弁護士:自分たちが店に立たずに、店を運営することはできないのですか。

酒井:従業員だけで店を回すと、人件費があまりにもかさんで運営できない。

弁護士:今は一日どれくらいの売り上げですか。

酒井:40万円前後です。オープン後、一時的に55万円くらいまで上げることができたのですが、その途端に800メートルぐらい先にファミマができて、一気に38万円くらいまで下がってしまいました。

弁護士:あなた独自の努力で店の収益を飛躍的に上げることはできますか。

酒井:正直無理だと思います。やはり商品力、あとは立地や環境の変化が大きいと思います。

一方、ファミマ側はこう主張した。

弁護士:売り上げを増やすには何が必要ですか。

ファミマ代表者:店舗の運営力です。お客様をたくさん呼んで、たくさんの商品を取り入れていただければ、売り上げは上がります。売り上げが見込めないところには出店いたしません。

弁護士:多品種、少量での発注に応じてもらったり、商品を企画したりということは加盟者(自身)でできることですか。

ファミマ代表者:不可能だと思います。

弁護士:本部の指導員からの助言や指導、推奨を守るかどうかは、加盟店の自由ですか。

ファミマ代表者:はい。

オーナーは「本部に逆らえば再契約してもらえない」

両者の言い分は大きく異なるが、実際にはどちらも一つの事実だろう。現在は独立してコンサルティング業を営む元オーナーは「商品もシステム開発も、自営業者一人では絶対にここまでできない。コンビニオーナーはとても恵まれている」と主張する。

ただし、「本部に逆らえば、再契約してもらえない」という不安から、オーナー側が本部に強く物を言えないのも現実だ。ファミマ側の「本部からの指導や助言を守るかどうかは加盟店の自由」という主張については、机上の空論に近いといえる。

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