主役の体は「別人」ハリウッドでよくある撮影手法 筋書きすら知らされない「ボディダブル」の存在

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毎朝撮影前、イーストウッドのヘアメイクとメイクアップには1時間ほどかけられた。メイクアップアーティストはバービーの日焼けした肌の色に近いブロンズ色のファンデーションを塗った。

しかし、何回も塗り重ねた後ですら、メイクアップチームのリーダーがイーストウッドのボディペイント担当アーティストのところに来て、もっと濃く、と伝えることが何度もあった。

イーストウッドは衣装を汚さないよう、撮影時間が来るまで自分の服を着ていた。その先は、次に何をするのかまったくわからないままに進んでいくことが多かった。映画の筋書きの前後関係を何も知らされないまま、頼まれたことは何でもやった。

そのようにしてイーストウッドが何回か撮影したシーンの1つが予告編に使われている。足が痛む演技をするよう指示されて、階段を上る場面だ。予告編が公開されたとき、イーストウッドはその場面が使われているのを見て興奮した。

別のシーンでは、地面に1時間うつ伏せになっていなければならなかった。顔の片側を床につけたままだったので、メイクが崩れてしまった。

「起き上がったときには、文字通り酔っぱらったような感じだった。何のシーンだったのかは、さっぱりわからない」と彼女は言う。

そしてこの感覚は、経験した撮影のすべてに当てはまる。「2週間撮影に参加していたけれど、映画の内容はほとんど知らない」とイーストウッドは言う。「筋書きはとてもうまく隠されていた」。

彼女がこの作品を見るには、この夏の一般公開を待たなくてはならない。

(執筆:Alexis Benveniste記者)
(C)2023 The New York Times

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