「古民家購入→自分で改装」した外国人が見た現実 外国人が憧れる家は、日本人は買わない?

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京都で古民家を友人の力を借りてリノベーションした。上が改装前、下が改装後(写真:筆者撮影)
日本の古い木造建築や町家、古民家は日本人にとっても魅力があるが、外国人にとっても「住んでみたい」と思わせる何かがあるようです。最近は日本の空き家などを購入し、リノベーションする外国人が増えていると、ニューヨーク・タイムズ紙も報じています。実際、日本で古民家などをリノベするのはそんなに魅力的なことなのでしょうか。上智大学で教鞭をとるパリッサ・ハギリアン氏が、自身の日本での古民家リノベ体験を紹介します。

日本でリノベをしようと思ったワケ

何年も前に、私が住んでいたオーストリア・ウィーンのアパートの壁を塗ったことがあります。完成後、私が手伝ってくれた友人に「壁が新しくなって嬉しいし、達成感がある」と伝えると、彼は「気をつけたほうがいいよ」と笑いました。リノベーションは依存症になる可能性があり、やめられなくなる人が多いのです。

実際、私はリノベにハマり、リノベを終えるとすぐに次の物件を探すようになりました。過去15年間、ヨーロッパと日本で数多くの物件を購入し、リノベしてきました。そして、うんざりするようなプロセスが終わるたびに、こう友人に言うのです。「もういいよ、これで本当に最後なんだから」。そして、友人たちは笑ってこう返します。 もちろん、次のプロジェクトまではね」。

私はオーストリアでいくつかのマンションを購入してリノベした後、ついに2018年「日本の伝統的な家もリノベしてみたい」と思うようになりました。

私の日本でのリノベ人生は、東京の自宅をほんの少し改装することから始まり、あまりセンスのよくない昭和の家の内装をリフォームしたり、最終的には廃墟で使い勝手の悪い家を素敵で居心地のよい家に完全に変えるまでになりました。今日までに、私は日本で3つのプロジェクトを手掛けてきました。

日本には、「空き家」と呼ばれる古い廃屋がたくさんあり、この数年、こうした住宅を購入し、リノベーションする外国人が増えています。住むためだけでなく、観光客に貸し出すこともあります。しかし、空き家が安いと言っても、日本で空き家をリノベするには、ある種の困難が伴います。そこで今回は、私の経験を紹介したいと思います。

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