資生堂に売却された「TSUBAKI」「uno」意外な健闘 営業利益率は10%超、カネボウ元社長が舵取り役

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2022年度の売上高は1000億円超、営業利益率は10%を超えているという。同じく低価格帯のヘアケア等を展開する花王のヘルス&ビューティーケア事業の同年度の営業利益率は9.3%。ROIなどの指標が細かく意識されていなかった部分も数字で可視化し、株式上場も視野に入れた厳格な管理体制を整えていく構えだ。

ファイントゥデイの海外売上構成比は、2022年時点で5割を超えている。海外全体で最も売り上げが大きいブランドは「SENKA(専科)」だが、ベトナムではヘアケアの「TSUBAKI」、中国ではボディソープの「KUYURA(クユラ)」と、国ごとに好調な商品は異なる。

そのため海外全体で広げるブランドと、限られた地域でスター商品として展開すべきブランドなど、地域と商品の2軸で棲み分けを図る。こうした改革を進めたことで「事業の成長率は市場平均を超えることができている」(小森社長)。

ただ業界アナリストは「日用品事業の海外展開は難易度が高く、採算が合いにくい」と指摘する。P&Gやユニリーバなど海外大手のマーケティング力や資本力に対抗するのは、容易ではないためだ。

海外は営業利益率20%も目指せる

だが小森社長は「海外事業は営業利益率20%を目指せるポテンシャルがある」と自信を見せる。資生堂が海外進出を強化する際、一番最初に展開する先鋒隊が低価格帯の日用品事業だった。進出国の経済水準が向上するにつれて、知名度を生かし高価格帯の化粧品を展開してきた歴史がある。

一方で、ブランド戦略はバラバラだったという。商品の開発、製造、販売の連携が十分に取れておらず、地域に合わせたマーケティングや商品展開を行う体制が整っていなかった。資生堂にとっては売上高の1割未満にすぎない部門であり、投資が優先されてこなかった。

現在は開発から販売まで一気通貫で展開できるよう、社内体制を変えている。国ごとに競争環境や需要動向は異なるが、小ロットの生産体制で対応する方針だ。海外大手が手がけないようなニッチ需要を拾い上げ、付加価値の高い商品展開を進めていく。

資生堂の看板が外れて独り立ちした日用品事業。国内外で成長し、さらなる飛躍ができるのか。研究開発から生産までの体制が整ったこれからが本領発揮となりそうだ。

伊藤 退助 東洋経済 記者

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いとう たいすけ / Taisuke Ito

日用品業界を担当し、ドラッグストアを真剣な面持ちで歩き回っている。大学時代にはドイツのケルン大学に留学、ドイツ関係のアルバイトも。趣味は水泳と音楽鑑賞。

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