迷惑なトラックの「ノロノロ運転」その納得の理由 安全を守りつつ、荷物も守る「プロの技術」だ

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繰り返すが、なかにはなんも考えず周りに迷惑をかけるトラックもある。さらに言うと、その走行車線に入れまいとするクルマが同じトラックだったりしたらもう救いようがないんだが、こうして相手にも「そうせざるをえない事情がある」ことを知っておくと、心にも余裕が生まれ、道路の安全にもつながるはずだ。

いいかい、ドライバー各位。安全運転ほど理にかなった運転方法はないのだ。

トラック運転では「安全性」が何より大事だ

2016年に相模原市の障害者施設で発生した大量殺傷事件や、2019年に36人もの犠牲者を出した京都アニメーション放火事件があったとき、「被害者の実名報道」の是非が論じられるようになったのを覚えている人も多いだろう。

実は日本では、2001年の「新宿歌舞伎町ビル火災」の際など、「被害者の実名報道」について議論されることは昔からたびたびあった。「被害者のプライバシーはなぜ守られないのか」と。それは世間だけでなく、報じるメディア関係者の間でもさまざまな意見が出ている。

しかしその一方、「加害者の実名報道」の是非についてはあまり深く議論されない。いや、むしろ日本は加害者については、「自業自得なんだからどんどんさらせ」「人を傷つけた報いを受けるべきだ」とする風潮が強い。それは、事件の性質に違いはあれど、今年2023年に連発している飲食店での迷惑行為者に対するネットリンチを見るとよくわかる。

こう言うと「なんで加害者になんか配慮する必要があるんだ」という声が聞こえてきそうなのだが、元トラックドライバーとして、そして、ライター活動の傍らひそかにメディア研究をしている身としては、「過失の交通事故」における加害者の実名報道においては、慎重になるべきケースがあると強く思う。

現場目線で記事を書いていると、現役ブルーカラーたちから実にさまざまな話が毎日数十件まいこんでくる。内容はさまざまだが、その多くは現場の労働環境の悲惨さ、そしてかなり深刻な内部告発的なものもあるのだが、もう1つそれ以外で多いのが「懺悔」だ。

現役のトラックドライバーのなかには、過去に死亡事故を起こした人たちが一部存在する。

トラックはその車体の大きさがゆえに、事故が発生すると必然的に人の命に関わる重大事故になりやすい。

事故後も被害者や遺族の無念を背負って生きているのだろう。「自分はこういう死亡事故を起こした」と数千字にもわたるメールが年に数件やってくるのだ。

そのなかには、過去に現行犯逮捕・実名報道され、家族の人生までもがくるってしまったというケースも少なくない。

無論、安全運転を怠ったドライバーが完全に悪い事故もあるが、なかには過失割合が非常に少ないにもかかわらず、現行犯逮捕され、速報で実名報道されるケースもある。

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