路線バスで野菜運ぶとなぜか「乗客が増える」ワケ 神姫バス「貨客混載」でわかった多方面への効果

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生産者が路線バスに青果物を積み込む。自分で街中まで納品する手間が不要となった(撮影:伊原薫)
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新型コロナウイルス感染症の影響で、公共交通も大きな打撃を受けた。通勤通学や旅行の需要が激減したことで、2020年度の乗客数が例年の半分以下に落ち込んだという会社もある。2021年度はわずかに回復傾向が見られるものの、テレワークやオンライン授業の普及などにより、乗客数がコロナ禍以前に戻ることはないとの見方が強い。

こうした状況下、減少した運賃収入を補うため、鉄道会社やバス会社はさまざまな知恵を振り絞っている。中でも、最近話題となっているものの1つが「貨客混載事業」だ。

路線バスで“産地直送”

貨客混載とは、旅客車両の空きスペースを使って貨物を運ぶというもの。実はコロナ禍以前から、特に地方のバス路線で貨客混載の動きは始まっていた。その多くは、バス会社と物流業者がタッグを組んでいる。バス会社にしてみれば確実な運賃収入が見込め、物流業者は一部区間の輸送をバスにゆだねることで、ドライバー不足や労働環境改善に対応できるというわけだ。

これに対し、最近はさらに新しい形の貨客混載事業が生まれつつある。好例と言えるのが、神姫バスのそれだ。

JAの支店に集まった青果物。これから路線バスに積み込む(撮影:伊原薫)

7月下旬のとある日、10時30分ごろ。兵庫県三田市のJA兵庫六甲高平支店の駐車場に次々と人が集まってきた。彼らはこの地域で農業を営んでおり、当日朝に収穫した野菜が入ったカゴを、車から手早く下ろしてゆく。その作業が一段落した頃、隣接する高平小学校前停留所で折り返す路線バスが到着。2つある車いすスペースのうち1つ分の場所に、カゴが積まれていった。

野菜を積んだバスは、11時7分に出発した。車内には数人の乗客がいたが、生産者やJAの職員は乗っていない。バスは途中の停留所でも客を乗せ、終点のJR三田駅北口まで運行。ここからは三田営業所まで回送で戻るのだが、その途中でJA兵庫六甲の店舗「パスカルさんだ」そばにあるバス停に立ち寄ると、待機していたJAの職員がカゴを下ろした。野菜はそのまま店頭に並べられ、さっそく主婦らが手に取ってゆく。“産地直送”を地で行く、見事な早業だ。

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