宇都宮LRT、8月開業時ダイヤが「控えめ」な事情 運行開始までに「延期」を重ねた紆余曲折も
開業当初の運行は、ピーク時が約8分間隔、オフピーク時が約12分間隔。地方都市の路線としては高頻度だが、これまで市などが示していた運行計画ではそれぞれ約6分間隔、約10分間隔だったため、やや「控えめ」だ。所要時間も計画では普通(各駅停車)で全線約44分、快速は約37~38分としていたが、開業当初は「目玉」といえる快速の運転はなく、普通の所要時間も「40分台後半」と若干ダウンした。
これらの理由について、運行会社の宇都宮ライトレールは「開業後の一定期間は運賃収受などに時間を要するため」と説明する。運賃は150~400円で、車内で支払う形式。ICカード利用の場合はすべてのドアから乗り降り可能だが、現金の場合は最前のドアのみで降りる際に支払う。ICカード利用の定着が時間短縮のカギとなりそうだが、同社の担当者は「現金の収受だけでなく、ICカードもこれまで利用する機会があまりなかった人が多いと思われるため、慣れていただくまでは時間を要すると考えている」という。
将来的に運行間隔を計画で示していたピーク時6分・オフピーク時10分にするかは「可能かどうかを見極め、できるように努めたい」(同社)といい、現時点では「絶対に実施するとはいえない」という。
着工後2回の開業延期
芳賀・宇都宮LRTは2018年に工事着手して以来、これまで2回の開業延期を重ねてきた。当初は2022年3月の開業を予定していたが、用地取得の遅れなどから宇都宮市は2021年1月、時期を1年程度先延ばしすると発表。事業費も、当初の約458億円から684億円(宇都宮市・芳賀町分の合算)へと約200億円増加し、批判の声が相次いだ。
2回目の延期が明らかになったのは2022年夏。今度は一部区間の工事の遅れが理由だった。現場は交差点をまたぐ高架の区間で、市によると橋脚の建設に使う大型機械の調達難や建設作業員の不足などが影響したという。この結果、一度延期した2023年3月の開業も不可能となり、打ち出されたのが「2023年8月開業」だった。
だが、その後もトラブルが発生した。一部区間での試運転を開始した直後の2022年11月19日、宇都宮駅東口のカーブ付近で車両が脱線。けが人はなかったものの車両は一部が破損し、開業延期こそなかったものの再発防止の対策工事が必要となった。
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