「推しが尊い」早口になる人に欠けた大事な視点 推しの魅力を伝える前に確かめるべき事がある

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そもそも「発信」とは、自分と相手との距離をつかむことから始まります。

これは、推しについて語る機会だけに限りません。面接だろうと、プレゼンだろうと、YouTubeだろうと、講演だろうと、すべて同じです。

なんらかの情報を、誰かに手渡そうとすること。つまりは「発信」──それらはすべて、相手との距離をつかむところから始まります。

相手との距離=内容についての事前の情報量の差異

相手との距離とはなにか。それは「自分と相手はどれくらい遠い場所にいるのか?」ということです。

誤解しないでほしいのですが、ここでいう「距離」とは、関係性のことではなく、「発信する内容についての事前の情報量の差異」のことです。

抽象的な言い方で、伝わりづらいかもしれません。具体的に書きましょう。

たとえば、好きなご飯屋さんについて話したいとします。

私はパクチーが好きなので、“パクチーを使ったエスニックのおいしいタイ料理店”について話したいとき、まずは、相手との「距離」を測ります。

① 相手がパクチー嫌いの友人の場合

普通に「パクチーがおいしいタイ料理店があってさあ」なんて始めても、「えー、私パクチー嫌い! あんなのどこがおいしいの」と言われる可能性が高いです。

でも、あなたが事前に、友人はパクチー嫌いだと認識しておけば、「ねえねえ、たしかパクチー嫌いだと思うんだけどさあ。私パクチー好きじゃん? で、こないだ感動するお店見つけたのよ。いやきみは行かないと思うけどさあ!」と前置きをつくって話しかけることができます。こっちの導入のほうが、相手にとって聞きやすいと思いませんか?

たとえ相手が嫌いなものについての話でも、「私はあなたが嫌いだとわかっているけど、いったん話させて」というスタンスから始めたほうが、聞いてもらいやすくなるのです。

② 相手がパクチーなんて食べたことのない海外出身の友人の場合

「いつ頃からかなあ、日本の若い人にパクチーがはやった時期があって、それ以来日本ってパクチー料理がけっこうお店にでてくるのね。で、こないだ行ったタイ料理屋がすごくよくて」と、前提知識を共有しておいてから話すのが無難です。つまり、パクチーについての事前情報を相手に伝えたあとで本題に入りましょう。

③ 相手が自分よりもパクチーが好きな友人の場合

「ねえねえ、●●ちゃんもパクチー好きだったよね? あのさあ、このお店知ってる?」と相手に情報を持ちかける形でしゃべりかけるのが、速い。

もちろんこのような使いわけは、皆さんも日常生活で無意識に行っていることでしょう。これと同じことを、プレゼンや発信や推しについてしゃべるときも、やるべきなんです。発信は、この使いわけが重要。

そう、まず把握すべきは、伝えようとする情報に対する相手のスタンスです。

相手が自分と違って「その情報についてどのくらい知っているのか」「その情報についてどのような印象を抱いているのか」という2点を把握しておくこと。それがすべての発信におけるポイントなのです。

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