「若者に嫌われる企業」がついやりがちなNG質問 就職差別企業は、採用氷河期を生き残れない

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残業ができるかどうか、転勤ができるかどうかという質問についても、入社後のミスマッチ防止の意図がありそうだ。仕事について、あえて過酷な部分を示し、ミスマッチを解消する手法をリアルスティック・ジョブ・プレビューという。入社後、想像以上に忙しく早期退職してしまうことや、勤務地・居住地に無理がないか、実情を確認するという意味もあるだろう。

もっとも、残業や転勤について可能かどうか質問すると、求職者は「はい」と言わざるをえない空気感となる。全身全霊を企業に捧げられるかどうかを聞いているかのようにも感じられる。できるかどうかではなく、実態を伝えるのであればいいのだが、面接ではそうはなりにくい。

このように、採用における不適切質問は、人事部と現場との距離の問題でもある。悪気がなく、ときには「よかれ」と思って、不適切質問がされる場合もあるのだ。

不適切質問の裏技

一方、面接官には不適切質問を、合法的に行う裏技がある。それは、自然な流れで相手に話してもらうという技だ。つまり、面接官が質問したのではなく、求職者に勝手に話してもらうのだ。

昔も今も使われている質問は「就活(あるいは転職、転身)について誰に相談していますか」というものだ。この質問をもとに、傾聴姿勢をとると、家族や友人・恋人など、身近な人間関係の話がボロボロと出てくる。この質問を掘り下げていくと、直接的に聞かなくても家族構成、家族との関係、価値観などが明らかになる。

この質問は、内定辞退防止のために用いられる。求職者が内定先に納得していたとしても、周りが反対することがある。その際、とくに保護者の意向は気になるポイントだ。

最近では、採用の現場では「親確」という言葉が存在する。たとえば、両親が地方公務員などの場合、ベンチャー企業などモーレツに働く企業に内定した場合は、不安から妨害してくる可能性がある。その際に、保護者を説得するための、労働時間や離職率などのデータを開示し、インプットすることにより、内定辞退を回避する。

これは、保護者以外にも有効だ。たとえば、大学の名門ゼミに所属しており、周りに日本の大企業に行く同期が多いとすると、ベンチャー企業に内定した人は周りの内定先をみて、悩むかもしれない。周りに誰がいるかを確認する質問は有効なのだ。想像がついた人もいると思うが、要するにこの質問の本質は周りにどのような人がいて、その中で自分はどんな存在であり、どんな影響を受けているかということである。

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