移住人気先の山梨県、人口急減を加速させる内情 6月に全国初の「人口減少危機突破宣言」打ち出し

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県の人口は前年5月に比べ1年間で5000人近く減少しているが、その内訳は自然減6619人によるところが大きい。出生数が4780人にとどまっているのに対し、死亡数は1万1399人と2.38倍にもなっている。県内の自治体をみても自然増となったのは昭和町138人と忍野村9人の2町村しかない。しかも出生数が年間で3人以下の自治体が4町村ある。

出生数の減少は全国共通だが、山梨県においても顕著だ。およそ半世紀前の1970年は1万2269人(全国では193万人)だったのが、2022年は5000人を割り込んでいる。これでは人口は増えない。

県全体では2年連続で転入超過だが……

自治体の魅力、活性度を示す社会動態はどうなっているだろうか。県全体でみると、この1年間で転入3万3777人、転出3万2100人で1677人の転入超過となっている。甲府市969人、南アルプス市474人、中央市230人など10市町村が転入超過。増減率では鳴沢村の1.18(転入超過33人)がトップだ。

山梨県は総務省の人口移動報告でも2021年、2022年と2年連続で転入超過となり、2022年は東京、大阪、滋賀とともに転入超過数が拡大して注目された。転入超過なのに人口減少という現象が起きているのだ。

転入超過が多いということは、それだけ県内の自治体に他県からの人口誘因力があるということ。少子化対策を講じて出生数が増えていけば、将来的には人口減を食い止められかもしれない。そんな希望を抱かせる兆候だ。

転入超過の要因として考えられるのはコロナ禍に高まったとされる都会住民の移住志向である。新宿から甲府まで、中央本線の特急「あずさ」や「かいじ」で1時間半と首都圏から近く、南アルプスや八ヶ岳といった大自然豊かな山梨県は、移住希望地として常に高い人気を誇っている。

認定NPO法人・ふるさと回帰支援センターの「移住希望地ランキング」では、窓口相談者に限ると2020年以降2位、3位、4位と上位につけている。他の同様の調査でもベスト5に入る人気県である。

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