三井金属は極薄銅箔の生産再開にメド、亜鉛の八戸製錬も6月再開へ【震災関連速報】
非鉄金属大手の三井金属鉱業は、東日本大震災の影響で操業を停止していた埼玉県上尾市の特殊銅箔事業部について、一部製品の生産を再開した。同じく操業を停止していた子会社の八戸製錬の八戸製錬所(青森県八戸市)も、6月上旬までに再開できる見通しだ。
三井金属の特殊銅箔事業部で製造される「極薄銅箔」は、スマートフォンなどのICパッケージ回路基板に使われる。同社はこの製品で世界シェアの9割を握っており、スマートフォン生産などに与える影響が懸念されていた。地震発生後の計画停電の影響で、全面的に操業を停止していたが、4月2日以降は休日に一部操業を再開。8日の東京電力の計画停電の終了宣言を受け、本格的な操業再開への準備に入った。早期再開を目指すが、具体的な再開時期はまだ明らかではない。
一方、亜鉛や鉛を製造する子会社、八戸製錬の八戸製錬所も6月上旬までに操業再開できる見通しだと発表した。三井金属は国内の亜鉛地金生産の4割を占める最大手であり、八戸製錬所では主に建材用鋼板のめっき用亜鉛を製造している。今回、地震で設備内のれんがが崩れるなどの被害が出たほか、津波で冠水した影響で通電に問題が生じていた。設備復旧後に、今年3月に予定されていた3年に1度の定期修理を後倒しで実施し、6月上旬の再開に間に合わせる。
自動車用ドアロックなどの製造子会社、三井金属アクトの石川工場(福島県石川郡)は、福島第一原子力発電所の事故の影響で操業を見合わせていたが、注文に応じて生産を再開。半導体製造装置の光学材料を製造する子会社、日本結晶光学の上尾工場(埼玉県上尾市)も計画停電の影響で一部操業を停止していたが、足元ではフル操業に近い状況にまで復旧している。また持分法適用会社の三井住友金属鉱山伸銅も3月下旬から操業を再開した。
(許斐 健太 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら