「女性なくして成長なし」 目覚め始めた日本企業


 高校卒業後、航空会社の客室乗務員となりいったんは結婚退職。今春社会人となる子ども2人を育てながら電話オペレーター、生保営業と転職してきた。「お客様マインドを教えてもらった」外資系会社のコールセンターでの経験が転機となった。

 ブロードバンドインフラを担うソフトバンクBB入社は04年4月と、情報漏洩事件の渦中。入社後はコールセンター業務の全国拠点拡充と、対応品質の改善に取り組んできた。「やりたいと手を挙げて次々と部署を立ち上げてきた。つねに走りながらやっている感じ」(野村氏)。

 通常100ブース増やすのに半年かかるところを、1年半で2000ブース増やす荒業もやってのけた。後輩の女性には「覚悟があれば道は開ける。腹をくくることが大切」とエールを送る。
 
 一方、1977年、たった2人の大卒女子の一人としてNTT(旧電電公社)に入社した井手明子氏は、現在NTTドコモ執行役員で、社会環境推進部長としてCSR(企業の社会的責任)を担当。「社内に対しては推進役、社外には説明役」の毎日だ。
 
 女性管理職の先駆けとして注目されることが多かった。周囲に自分のロールモデルとなる女性はあまりいなかったが、女性のネットワークや勉強会に進んで参加したり、メディアに取り上げられる女性を参考にしてきたという。「元外務大臣の川口順子さんが、その昔、子どもの面倒を見てくれる人を探すために自らビラ配りをしたというエピソードを知り、励まされたこともあった」。
 
 昨年11月末、関東甲信越の育児休職中の女性を対象としたフォーラムを開催した。参加者は約80名、同行した赤ちゃん60名で、ドコモ本社にはベビーカーがあふれたという。「復職時には『フルタイムで働けるが出張はできない』とか、自分ができること、できないことを上司にはっきり伝えること」など、管理職の女性からの助言が飛び交った。「休みが多くあればいい、辞めずに済めばいいという時代ではない。女性の頑張りたいニーズにも応えることが大切だ」(井手氏)。
 
 設立から5年で東証1部上場を果たした通信ベンチャーのイー・アクセス。ADSL回線の卸事業が主力だが、持ち分会社イー・モバイルで携帯事業に参入し、勝負の時を迎えている。そんな同社で、30代半ばにして常務執行役員兼CFOの重責を担っているのが飯田さやか氏だ。
 
 米国州立インディアナ大学で会計学を学び、卒業後はシリコンバレーで監査法人KPMGの会計士として経験を積んだ後、「ベンチャー企業で経理をしたい」とポストを探し現職へ。「社員番号は11番。入社当時はまだコクヨの伝票を切っていて、私が勘定科目を一から決めていった」。
 
 資金調達、IPOプロジェクトと大仕事をこなし「やらないで後悔するよりは」と昨年CFOに就任。IR専任時代は国内外で年300件、CFOになった今でも同150件の説明会や取材をこなしている。
 
 「業績に対してアナリストの方々がノーサプライズと言うことがありますね。でも1億円利益を多く出すことがいかに大変なことか」。創業まもない頃から社員の苦楽を知るだけに、その言葉には重みがある。

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