東洋経済オンラインとは
ビジネス #鉄道最前線

置き去り防止に一役「バス降車ボタン」意外な進化 バス機器のレシップ開発、無線式で電池も不要

5分で読める
2/3 PAGES
3/3 PAGES

販売開始してほどなく、無線式ボタンに転機が訪れる。2022年9月、静岡県牧之原市の認定こども園で女児が送迎バスに置き去りにされて死亡する事件が発生。国は関係省庁による対策の検討を開始した。

同社も置き去り防止支援装置のプロジェクトチームを立ち上げた。ホームページには「バス用製品を生かして何かできないか」といった意見が複数寄せられたという。担当者も「当社は一般消費者向け製品を発売していないため、このような問い合わせは、通常ではいっさいなかった」と驚く異例の出来事だった。

11月28日、無線押しボタンのシステムを活用した車内置き去り防止支援装置を開発したと発表した。

無線押しボタンをベースに開発した置き去り防止車内点検支援装置(記者撮影)

その後、国土交通省が定めたガイドラインにも適合。エンジンが停止すると繰り返しブザー音が鳴り、車内後方のボタンを押さないと止まらない仕組みで、運転者に車内点検を促す。一定時間ボタンが押されないと警報音で車外へ知らせるほか、装置が故障した場合にはアラートが出る。

ボタンは子どもの手が届かない場所に設置する。同社は路線バスと同様、「配線工事が不要であり既存車両への後付けが容易」と無線式の利点をアピールする。定価は12万円(税抜き)。

2023年4月から幼稚園や保育所、認定こども園などの送迎用バスに安全装置を装備することが義務化された(1年間は経過措置)。設置には1台当たり17万5000円を上限に補助金が出る。

路線バスに応用も

同社企画部の笹尾哲平さんは「スピード感を持って開発する必要があったが、命に関わる製品なので品質では譲れないところがあった。結果として胸を張って出せる製品になった」と話す。置き去り防止支援装置は、自動車部品メーカーなど複数社が開発しているが、レシップではバス用機器でつちかった製品への信頼が強みになっているという。

バス機器メーカーのレシップ

  • レシップの運賃箱 歴代の代表的な運賃箱が並ぶ。右端は鉄道用
    (記者撮影)
  • キャッシュレス運賃収受器 キャッシュレス運賃収受器
    (記者撮影)
  • レシップの案内表示 車内の路線案内表示
    (記者撮影)
  • レシップの案内表示 運賃の案内表示
    (記者撮影)
  • レシップの案内表示 さまざまなバス用電装品を製造する
    (記者撮影)
  • レシップの行き先表示器 バス前面の行き先表示器。奥は灯具類
    (記者撮影)
  • 行き先表示器のデザインは自由自在 行き先表示器のデザインは自由自在
    (記者撮影)
  • 乗務員支援システムの表示 乗務員支援システムの表示
    (記者撮影)
  • 無線式降車ボタン 無線式降車ボタン
    (記者撮影)
  • 無線式降車ボタンの裏面 裏側はシンプルで車内に貼り付けるだけ
    (記者撮影)
  • 置き去り防止車内点検支援装置。 置き去り防止車内点検支援装置。
    右端が無線式ボタン(記者撮影)
  • 受信装置とアンテナ 受信装置とアンテナ
    (記者撮影)
  • 運転席表示灯をベースにしたパイロットランプ。 運転席表示灯をベースにしたパイロットランプ。
    右は車外警報装置(記者撮影)
  • 開発に携わった鷲見さん(左)と池脇さん 開発に携わった鷲見さん(左)と池脇さん
    (記者撮影)
  • テスト用の「レシップバス」 テスト用の「レシップバス」
    (記者撮影)
  • レシップの工場内 工場内にずらりと並んだ運賃箱
    (記者撮影)
  • 運賃箱の動作のテスト 運賃箱の動作のテスト
    (記者撮影)
  • 実際に硬貨を投入してテストする 実際に硬貨を投入してテストする
    (記者撮影)
  • 置き去り防止支援装置のテスト 置き去り防止支援装置のテスト
    (記者撮影)
  • 置き去り防止支援装置のボタンには「♪」のマーク 置き去り防止支援装置のボタンには「♪」のマーク
    (記者撮影)
  • レシップの本社は岐阜県本巣市にある レシップの本社は岐阜県本巣市にある
    (記者撮影)
1/
  • レシップの運賃箱
  • キャッシュレス運賃収受器
  • レシップの案内表示
  • レシップの案内表示
  • レシップの案内表示
  • レシップの行き先表示器
  • 行き先表示器のデザインは自由自在
  • 乗務員支援システムの表示
  • 無線式降車ボタン
  • 無線式降車ボタンの裏面
  • 置き去り防止車内点検支援装置。
  • 受信装置とアンテナ
  • 運転席表示灯をベースにしたパイロットランプ。
  • 開発に携わった鷲見さん(左)と池脇さん
  • テスト用の「レシップバス」
  • レシップの工場内
  • 運賃箱の動作のテスト
  • 実際に硬貨を投入してテストする
  • 置き去り防止支援装置のテスト
  • 置き去り防止支援装置のボタンには「♪」のマーク
  • レシップの本社は岐阜県本巣市にある

一方、路線バスでも車庫に戻ったバスの車内に乗客が取り残される事案がたびたび発生している。同社はバス事業者の終業時の車内点検用としての需要も開拓する。小さなボタンではあるが、バスの安全に大きな役割を果たしていくことになりそうだ。

【写真を見る】置き去り防止に一役「バス降車ボタン」意外な進化 バス機器のレシップ開発、無線式で電池も不要(26枚)
「鉄道最前線」の記事はツイッターでも配信中!最新情報から最近の話題に関連した記事まで紹介します。フォローはこちらから

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数