岸田首相、長男更迭の逆風も「6月解散に本腰」の訳 秘密裏に選挙情勢調査を実施、その結果は?

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反対の急先鋒が、創価学会で選挙を取り仕切っている佐藤浩副会長だ。佐藤氏は大阪・兵庫以外で一議席でも増やそうと、10増10減の区割り変更で新しく生まれる東京28区に、公明党候補者の擁立を認めるよう自民党に要求してきた。一方、自民党東京都連会長の萩生田光一政調会長は、自らの支援者を28区から出馬させる方針で、協議は難航した。

ところが今の自民党執行部は創価学会にパイプがなく、裏で調整のしようがない。茂木敏充幹事長は「そもそも自民党は公明党に譲りすぎだ」というのが持論で、創価学会からの信頼がない。

そこで自民党執行部が頼ったのが、かねて佐藤氏とパイプを築いてきた菅義偉前首相だ。執行部は森山裕選対委員長を通じて菅氏に佐藤氏との仲介を頼んだ。しかし菅氏は、佐藤氏と話した後、「東京28区を公明党に譲ってやれないかと打ち返してきた」(自民党関係者)。党幹部は嘆く。

「菅さんも力が落ちた。結局、佐藤さんの言うことを聞いてやれと。そんなパイプ役なら誰でもできる」

交渉は決裂、自民党に広がる疑心暗鬼

結果、交渉は決裂した。佐藤氏は東京28区をあきらめる代償に、東京では自民党候補を推薦しない方針を決めた。

前回の衆院選で公明党は、東京で70万票あまりの比例票を出している。30選挙区で単純に割ると1選挙区2万票以上となる。東京選出の自民党議員にとっては当落に直結する大問題だ。こうした状況で自民党内にも麻生太郎副総裁や森喜朗元首相など、未だに早期解散に慎重論も根強い。

この公明党・創価学会の姿勢を見て、自民党にはこんな疑心暗鬼が広がった。

「公明党は東京の票をテコに、維新に大阪・兵庫で選挙協力を維持してもらう方針に切り替えたんじゃないか」

維新が東京の小選挙区にどれだけ候補者をそろえられるかは未知数だが、維新の候補者に公明党の票が乗っかったら、影響は大きい。

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