岸田首相、長男更迭の逆風も「6月解散に本腰」の訳 秘密裏に選挙情勢調査を実施、その結果は?
ウクライナのゼレンスキー大統領の電撃訪問でがぜん注目度が増したG7広島サミットが幕を閉じると、岸田文雄首相は6月下旬の衆議院解散に向けて本格的に動き出した。解散判断の前提となる全国の選挙情勢調査に踏み切ったのだ。自民党幹部が明かす。
「情勢調査の結果で自民党は、現有議席の260あまりから10議席程度減らすだけでした。250議席なら自民党単独で過半数を大きく上回る。ちょっと甘めに出ていると思うけど、十分許容範囲です」
このときから岸田首相は通常国会会期末の解散に向けて、アクセルをふかし始めた。解散戦略の現状を取材した。
菅義偉前首相を反面教師に
内閣支持率が急降下し、解散が打てないまま自民党総裁選への出馬断念、退陣に追い込まれた菅義偉前首相。菅前首相を反面教師とする岸田首相は、来年9月の自民党総裁選の前に衆議院選挙を行って勝利し、総裁選を乗り切るというのが「基本戦略」だ。
そのためには追い込まれる前の勝てるタイミングで、衆議院解散を断行しなければならない。岸田首相が候補の1つとして目をつけたのが、地元広島でのG7サミットが終わった後の通常国会会期末だった。
岸田首相は年明け以降、運も味方につけながら、着々と布石を打ってきた。新型コロナウイルスの5類への引き下げ、日韓関係の改善、広島サミット、株価のバブル後最高値更新と政権には追い風が吹いている。防衛費増額のための財源確保法案を通常国会で成立させ、6月半ばに財源を曖昧にしたまま異次元の少子化対策の内容を発表すれば、それらを争点に解散総選挙に打って出るという算段だ。岸田派幹部は語る。
「ここまで条件がそろうことはまずない。自民党総裁選まではやや時間があるが、ここで総選挙に勝てば簡単に岸田おろしなんて起きない。ポスト岸田に強力な候補者もいないし、大義があって、勝てるときに解散することが重要でしょ」
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